黙ってたって伝わる
《燐SIDE》
○○はクラスメイトだった。
○○は隣の席で、周りにどう接しようか迷っている俺に「俺、○○。君は?」と問いかけてくれた。
嬉しくなって、すぐに「ぉ、奥村燐だ!!!」と言う俺に、○○は笑ってくれて、よろしく。と言ってくれて、友達になってくれて・・・
俺は○○が大好きだった。
塾で疲れていた時も、○○の前だと元気になれた。
授業で居眠りしてしまった時は、○○が代わりにノートを取ってくれて「お礼は燐のお弁当のおかずな」笑いながら言ってくれて・・・
俺は、本当に○○が大好きだったんだ。
「俺、――燐のこと、愛してるぅー!!!!!!!!」
その言葉を聞いたとき、俺は嬉しかった。
本気で嬉しくて、顔はめちゃくちゃ熱くて・・・
答えはもちろん・・・
「ぉ、俺もだぁー!!!!!!!」
思いっきり叫んでいた。
恥ずかしかったけど、俺は本気だった。
○○は笑ってくれていた。
○○が笑ってくれていると分ると、俺も自然と笑顔になれんだ。
だから・・・
「燐?どうしたの?」
「・・・何でもねぇよ」
俺は・・・――俺が悪魔の力を持ってることを、絶対に○○には言えないんだ。
○○は悪魔の存在だって知らない。
もしも俺が○○に塾のこととか悪魔のこととかを話してしまったらどうなる?
・・・得体の知れないものを見る目で見られるかもしれない。
一緒にいられなくなるかもしれない。
それは絶対に嫌だ。
だから・・・ぃえないんだ。
「・・・燐・・・大丈夫か?」
心配そうにしている○○に、申し訳なくなる。
○○のことが大好きだからこそ、言えない。
「俺に言えないこと?」
「ぃ、言えねぇ・・・」
○○に嫌われたくない。
○○が大好きだからッ、
だから――
「そっか・・・」
○○はそれだけ言って、俺を抱き締めてくれた。
「燐が言いたくないなら、言わなくて良い」
優しい声でそういう○○は、そのまま小さく笑った。
「燐が、俺のことをめちゃくちゃ愛してくれてるのは、伝わるからさ」
「っ!!!!!」
ボロボロッと涙が流れた。
「ッ、ん・・・ヒッ、ク・・・○○っ」
「はいはい、泣かないの。大丈夫、俺も燐のこと、めちゃくちゃ愛してるからな」
よしよしと俺の頭を撫でる○○が・・・
俺はやっぱり、大好きだった。
黙ってたって伝わる
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