急に悲鳴をあげるなこのダボハゼがあああああ!!!!
今日という今日は・・・
俺は失禁せずにはいられないかもしれない。←
いや、もちろん必死で失禁は回避するつもりだが。
「いやぁ・・・やっぱり、廃病院って雰囲気出るな、○○」
キラキラした笑顔でこっちを向く恭也。
病院なんて・・・絶対にお化けが出るだろ☆スポットだろうがぁぁぁぁぁぁあああああああああッ!!!!!!!!!!!
目の前の廃病院は、誰のいたずらか窓ガラスは全部割られていて、寂れていて・・・
いかにも!!!!な雰囲気が、俺は許せない!!!!!!!
うわぁッ、見ろよアレ!!!!!!
窓のあたりから、女の子がこっちを覗いてるよッ!!!!!!!
今にも悲鳴をあげそうな俺を引っ張る恭也に、抗議の声を上げたい!!!!!!!出来ないけど!!!!!!!
「うわっ。真っ暗だなぁ」
「・・・今日は流石に懐中電灯つけるだろ・・・?」
「もちろん」
カチッと懐中電灯をつける恭也にほっとする。
もしも此処でつけないとかふざけたことを言い出したら、パニックのあまり恭也を襲うところだった。←
「・・・まだ暗いな」
「まぁ、懐中電灯一本だけだし」
懐中電灯の光で照らされる範囲は狭いから、俺は内心ビックビクだ。
・・・よ、よし。落ち着こう。考えを改めよう。
大丈夫!!!!!!お医者さんなんて、生きてるうちから怖いから、今更あんまり大差ないって!!!!!!!!←
ナースだって、優しい笑顔してるくせに、お医者さんと一緒に患者を恐怖に貶めるから、同じだって!!!!!!!!←
患者さんだって、直視しなければ親しみを持てるって!!!!!!!!←
しばらく歩きながら、俺は必死で考えを改めることに集中した。
その間に、受付とか病室とかを過ぎ去った気がする。
今のところ、幽霊には出会っていない。
よ、よーし。こ、この調子だ・・・!!!!
おおおおおおおお、落ち着こうぜ、落ち着こ――
「――ッ!!!!!!!」
ビックゥゥゥウウウウッ
隣の恭也の小さくも響く悲鳴に、俺は肩を震わせた。
「急に悲鳴をあげるなこのダボハゼがあああああ!!!!」
その前から十分パニックだった俺は、ついつい怒鳴る。
・・・恋人に対してあんまりな発言だろ、俺。反省、反省。
一方恭也は、何かを指差して顔を蒼くしている。
な、何だ・・・?
俺は恭也の指差す方を見る。
・・・・・・。
「うぎゃぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
ガシッと恭也の腕を掴んで俺は走り出す。
恭也も今回ばかりは俺と同じで全力疾走。
何で恭也も見えてるんだ!?
ぁ、そっか!!!!!たまに、自分と波長が合っちゃう幽霊とか居て、波長が合っちゃうと視得ちゃうって言うよね☆
・・・ぅれしくねぇぇぇぇぇぇえええええええええええッ!!!!!!!!!!!!!!
背後から俺たちを追いかけてくるのは、病院で定番の、患者さんの幽霊!!!!!!!!
しかも、無い右手の接続部からは、血がボチャボチャッと流れるオプション付き!!!!!!!!!
「ヤバイヤバイヤバイ!!!!!!!こっち来てるぅぅうううううううッ!!?!!!???!!!?!?!?!??!!!???」
「○○ッ、ど、どうすれば・・・!?」
「兎に角病院から出るぞ!!!!!!手ぇ離すなよぉぉおおお!!!!!!!!!!」
「わ、わかった!!!!!」
来た道を必死で戻る。
外へ出るための扉を見つけた恭也が、扉に手をかけた。
ガチャガチャッ
「ぁ、開かない、○○!!!!!」
「何ぃ!!?!!!?!??ちょっ、そこ退け、恭也!!!!!!」
扉の前から恭也を退かす。
お、俺を舐めるなよ!!!!!!!!
何度、こんな怖い状況になったと思ってるんだ!!!!!!!!
「でりゃぁぁぁぁぁああああああああああッ!!!!!!!!!!!!!」
ドガンッ!!!!!!
扉を思いっきり蹴破る。
患者さんの幽霊は、恭也のすぐ傍まで来ている。
俺は恭也の腕を思いっきり引っ張って走り出す。
「そ、外だぁー・・・」
外に出た瞬間、まるで当たり前とでも言うように、患者さんの幽霊は追いかけてこなくなった。
入り口らへんで、恨めしそうにこっちを見ている。
とりあえず、俺はその場にへたり込んだ。
恭也も大分疲れたのだろう。俺の隣に座り込む。
「ゼェッ、ハァッ・・・も、もう嫌だ」
「・・・ハァッ、はぁっ・・・ぁりがと、○○」
二人して息切れ。
「か、帰ろう。恭也」
「そうだな・・・」
よろよろしながら、廃病院を離れていく。
やっと息が整ってきた頃、恭也が俺を見て小さく笑った。
「・・・なんか、今日の○○は格好良かった」
「“は”って何だよ。何時もの間違いだろ!」
「・・・・・・」
「おぉい!?返事してくれよ!!!!!!!」
そんな会話をしながら、恭也と真っ暗な夜道を歩いた。
嗚呼ッ・・・
もう肝試しなんてまっぴらだ!!!!!!!!!!
END
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