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「ナマエさん、ナマエさん」

「はいはい。何だい、燈くん」


自分の腕にぎゅっと抱きついてくる後輩、膝丸燈にナマエは小さく微笑んだ。







元々、ナマエは面倒見が良い方だ。

そうでなくとも後輩に慕われるのは純粋に嬉しく、その気持ちに応えたいとナマエは思う。



新たに入った後輩の中でも一番自分を慕ってくれているのだ。可愛くないわけがない。

可愛くて仕方なくて構ってやれば、もっと懐かれた。


出会って幾度と話し、彼の話を黙って聞き、涙も受け入れた。時には優しく頭を撫でてやった。

ナマエにとっては当然のことだったが、燈が懐くには十分だったのだろう。






「ナマエさん、昼食一緒に食べて良いですか?」

「ははっ、当然だよ」


主人に遊んで貰いたい犬の如く、全力でじゃれ付いている燈は、早々U-NASAでは見慣れた光景となっている。

身長差から目下にある頭を撫でつつ、ナマエは微笑む。





「あっ!そうだ聞いてくださいよ、今日ミッシェルさんが――」

今日あった出来事を楽しげに語る燈に、ナマエは「そう」「それは凄い」「良かったね」と笑顔で相槌を打つ。


その最中、燈が腕に抱きつくというポーズは変わらない。

当然ナマエはそれを指摘するつもりはなかった。早々弟のような燈は、つい甘やかしてしまうのだ。








「ナマエさん、ナマエさん」

「はいはい。何だい、燈くん」


「ナマエさん、大好きです」

「そう。私も大好きだよ」


親が子供にそう言われた時のように、穏やかな気持ちになりながらそう返事をすれば、燈は少しだけ気に入らないといった顔をした。

珍しいその表情に「どうかしたかい?」と尋ねれば、燈はぐりぐりとナマエの腕に顔を摺り寄せる。





「・・・ナマエさん、たまに鈍い」

鈍い?と首を傾げた瞬間、襟を掴まれぐいっと下に引かれた。



気を抜いていたためあっさりと下がってきたナマエの顔に、燈の顔が近付く。

近付き、ちゅっと音を立てた後に離れて行った顔。その顔は不貞腐れた表情のまま真っ赤に染まっていた。



ナマエはと言えば、ぽかんとしたまま燈を見つめ「えっと・・・」と声を漏らす。突然のこと過ぎて、どんな反応を返したら良いのかわからないのだ。






「・・・俺、そういう意味でナマエさんのこと好きですから」


ちょっと俯く燈に「・・・燈くん」と手を伸ばす。

あっさり受け入れられた手は、燈の頭を撫でた。





「そう。全然気付かなかったよ・・・」

「嫌ですか?」


顔を上げた燈に、ナマエはゆっくりと首を横に振った。





「純粋に嬉しいって思うよ。きっと私も、燈くんのことを少なからず想っているんだろうね」

「そのうち『すっげぇ好き』って言わせて見せますから」


にひひっと笑う燈に、ナマエはくすっと笑った。







「うん。楽しみにしているよ」


その次の瞬間には、燈は「はーい」と返事をしながらナマエの首に腕を回して抱きついた。







わんこのじゃれ合い






「燈は随分とナマエに懐いてるな・・・」

「まぁ、ナマエは出来た人間だし、後輩から慕われるのも分かります」

「いや、あれはそれ以前の問題だろう・・・お。燈がナマエに抱きついたぞ」


少し離れた場所でその光景を見ていた小吉とミッシェルは、その光景を微妙な面持ちで見ていた。




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