×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -
「ナマエさん、ナマエさん」
「はいはい。何だい、燈くん」
自分の腕にぎゅっと抱きついてくる後輩、膝丸燈にナマエは小さく微笑んだ。
元々、ナマエは面倒見が良い方だ。
そうでなくとも後輩に慕われるのは純粋に嬉しく、その気持ちに応えたいとナマエは思う。
新たに入った後輩の中でも一番自分を慕ってくれているのだ。可愛くないわけがない。
可愛くて仕方なくて構ってやれば、もっと懐かれた。
出会って幾度と話し、彼の話を黙って聞き、涙も受け入れた。時には優しく頭を撫でてやった。
ナマエにとっては当然のことだったが、燈が懐くには十分だったのだろう。
「ナマエさん、昼食一緒に食べて良いですか?」
「ははっ、当然だよ」
主人に遊んで貰いたい犬の如く、全力でじゃれ付いている燈は、早々U-NASAでは見慣れた光景となっている。
身長差から目下にある頭を撫でつつ、ナマエは微笑む。
「あっ!そうだ聞いてくださいよ、今日ミッシェルさんが――」
今日あった出来事を楽しげに語る燈に、ナマエは「そう」「それは凄い」「良かったね」と笑顔で相槌を打つ。
その最中、燈が腕に抱きつくというポーズは変わらない。
当然ナマエはそれを指摘するつもりはなかった。早々弟のような燈は、つい甘やかしてしまうのだ。
「ナマエさん、ナマエさん」
「はいはい。何だい、燈くん」
「ナマエさん、大好きです」
「そう。私も大好きだよ」
親が子供にそう言われた時のように、穏やかな気持ちになりながらそう返事をすれば、燈は少しだけ気に入らないといった顔をした。
珍しいその表情に「どうかしたかい?」と尋ねれば、燈はぐりぐりとナマエの腕に顔を摺り寄せる。
「・・・ナマエさん、たまに鈍い」
鈍い?と首を傾げた瞬間、襟を掴まれぐいっと下に引かれた。
気を抜いていたためあっさりと下がってきたナマエの顔に、燈の顔が近付く。
近付き、ちゅっと音を立てた後に離れて行った顔。その顔は不貞腐れた表情のまま真っ赤に染まっていた。
ナマエはと言えば、ぽかんとしたまま燈を見つめ「えっと・・・」と声を漏らす。突然のこと過ぎて、どんな反応を返したら良いのかわからないのだ。
「・・・俺、そういう意味でナマエさんのこと好きですから」
ちょっと俯く燈に「・・・燈くん」と手を伸ばす。
あっさり受け入れられた手は、燈の頭を撫でた。
「そう。全然気付かなかったよ・・・」
「嫌ですか?」
顔を上げた燈に、ナマエはゆっくりと首を横に振った。
「純粋に嬉しいって思うよ。きっと私も、燈くんのことを少なからず想っているんだろうね」
「そのうち『すっげぇ好き』って言わせて見せますから」
にひひっと笑う燈に、ナマエはくすっと笑った。
「うん。楽しみにしているよ」
その次の瞬間には、燈は「はーい」と返事をしながらナマエの首に腕を回して抱きついた。
わんこのじゃれ合い
「燈は随分とナマエに懐いてるな・・・」
「まぁ、ナマエは出来た人間だし、後輩から慕われるのも分かります」
「いや、あれはそれ以前の問題だろう・・・お。燈がナマエに抱きついたぞ」
少し離れた場所でその光景を見ていた小吉とミッシェルは、その光景を微妙な面持ちで見ていた。
戻る