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27



「あ・・・」






俺は間の抜けた声を上げた。

さっきまで目の前にいた家族が、誰一人いない。


此処は俺の部屋のようだ。

何もない、薄暗い部屋。



俺、何してたんだっけ?

あぁそうだ、エースを助けないと・・・



あれ?エースは何処だ?

エース・・・







「・・・リヒトっ」

背後から声がして、俺はばっと振り返る。

そこには、日記を抱えて泣くエースがいた。


あぁ、どうして・・・どうして泣くんだ・・・

俺、エースには生きて幸せになって貰いたいのに。



「リヒトっ、俺を置いてかないでくれよぉ・・・」

は?と声を上げそうになる。



置いてくのはエースの方だ。

エースは何時だって、俺の手の中をすり抜けて逝ってしまうんだ。





「俺だけ生きてたって・・・リヒトがいなきゃ、意味ねぇだろぉ・・・」

薄暗い部屋の中、一人泣いているエース。

エースは俺が見えていないのだろうか。

ぼんやりとエースを眺めてる。



エース・・・

なぁ、エース――








「死なないでっ、リヒト・・・」

日記を抱き締めて泣くエースは、まるで俺のようだった。


例えば今この世界が、俺がエースを守れてエースが生き残った世界だとするのなら・・・

俺の命を持って生き残ることが出来たエースは、こんな風に泣いているのだろうか。






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