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17



「な、んで・・・だよ」



何でだよ何でだよ。


お前、俺のこと嫌いだろう?

死んでくれた方が清々するだろう?

そのはずだろう?



なのに、何で・・・






「何で俺を庇ってんだよぉお!!!!」

突然あいつが俺と赤犬の間に飛び込んできて、気付けばあいつの腹に大きな穴が開いていて・・・



「エース・・・」

船じゃ、一度だって俺の名前を呼んだことが無い癖に。

まるでずっと呼び続けて慣れ親しんだかのように俺の名を呼ぶ。



「生きるんだよ。今度は死んじゃだめだ。下手なことをしないで、真っ直ぐと親父のところへお帰り。振り向いちゃ駄目だ。あぁ、でも足元には気を付けるんだ、あと、それと――」

そいつの口の端から血が零れた。



こんなヤツ知らない。


俺のことを愛おしそうに見るこいつは誰だ?

俺のことを心配そうに見るこいつは誰だ?

俺のことをこんな、こんな・・・






「愛してるよ、可愛い弟エース





なぁ、

「リヒトっ!!!!!」

俺も、初めて名前を呼んだ。



初めて呼んだはずなのに、妙にその呼び方が口にしっくり馴染んだ。






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