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それは突然だった。




「よいしょっと・・・ふぅ・・・」




サニー号に勝手に乗り込んできたのは、海賊にとってはあまり見たくない・・・海軍の服装をした青年。

顔は、深く被っている帽子のせいで、伺えない。




よじ登ってきたのか、甲板に降り立つと、ほっとしたように息をついた。


下の方に小さな小船があることから、あれに乗ってサニー号に近づいてきたのだろう。









「『ふぅ・・・』じゃねぇぇぇぇぇええええええッ!!!!!!!!!!!何、海軍が船に乗ってるんだぁぁぁぁぁぁああああああッ!?!!?!???!!??!!!!?!?!???!」


ウソップの叫びともツッコミとも取れる声が響く。

もちろん、ナミやサンジたちも驚きで固まっている。










「あ!!!!!」








全員が硬直している中で、大声をあげたのは・・・


船長のルフィだ。












「ナマエ兄ちゃん!!!!!!」


「「「「「ナマエ兄ちゃん!?」」」」」






嬉しそうな顔でその青年に飛びついたルフィに、一同唖然。


ルフィを受け止めた青年の帽子が、その拍子に落ちてしまう。








「あぁ、ルフィ・・・久しぶりですね」







そこには、顔のつくりこそルフィに似てはいるが、ルフィとは似ても似つかない穏やかで優しげな笑みを浮かべている。




「兄ちゃん!どうして、こんなところに居るんだ!?」


「んー?それはですねぇ・・・ちょーっと、仕事をサボって海の上を逃げていたら、海賊船を発見したので、とりあえず面白そうだから上ってみたんです。おかげで、ルフィに会えました」



にこにこと笑っているナマエと呼ばれた青年。

面白そうという理由で、よじ登ったらしい。


・・・根本的な何かが、弟のルフィと似ているようだ。







「元気ですか?ちゃんと、毎日沢山ご飯を食べさせてもらえてますか?風邪にかかったりしていませんか?」


心配そうにルフィに尋ねるナマエ。

ルフィは「平気だ!」と笑った。






「・・・まさか、兄が海軍なんて・・・」


驚いて声を上げたナミに、ナマエがピクッと反応をした。






「何か問題でもありますか?今此処にいる海軍は私ただ独り。怖れることはありませんよ?」

にこにこと笑っているナマエは、未だに抱きついているルフィの頭を撫でている。






「兄ちゃん!腹ぁ、減ってねぇか!?」

「ん?あぁ・・・そういえば、此処数日、本部の部下から逃げてばっかりで、ろくにモノを食べてないですね」


ルフィの言葉にちょっとだけ困ったような笑みを浮かべるナマエ。







「サンジ!兄ちゃんにメシ作ってくれ!」


「あぁ。君がこの船のコックですか?何時もルフィのご飯、有難う御座います」


「ぁ、ぃや・・・あぁ」

丁寧に頭を下げられたサンジは慌てて頷いた。









・・・――









パクッ


サンジの料理を、ナイフとフォークを使って綺麗に食べたナマエは、にっこりと微笑んだ。






「うん。とっても美味しいですね」

口元をそっと拭った時『プルルルルルルッ』という音が鳴り響いた。


電伝虫だ。





それをポケットから取り出したナマエは、困ったように笑った。





「ん?おぉっと・・・見つかっちゃいましたか?」


座っていた椅子からゆっくりと立ち上がり、甲板へと出る。




サニー号の横には、小さいながらも、しっかりとした海軍の船があった。

ナマエは「攻撃は無しですよ」と穏やかに呟く。


後ろから慌てて追いかけてくる麦わら一味に、ナマエは「これからも、ルフィをよろしくお願いしますね」と微笑んだ。









「ナマエ兄ちゃん!」


「ルフィ・・・仲間は、絶対に大切にするんですよ。何があっても守りぬきなさい。貴方なら、それができると私は信じています」



駆け寄ってきたルフィの頭を優しい笑みと共に撫でたナマエは、突如として船から隣の船へと飛んだ。











「今回の彼らの任務は、私の捕獲だったみたいなので、戦闘はご遠慮させていただきますね。では・・・仕方ないので帰りましょうか・・・」


ゆっくりと離れていく船。




しばらくして、海軍の船も、ナマエも見えなくなったとき・・・「ぁ・・・!」というロビンの声が響いた。








「モンキー・D・ナマエ!!!!思い出したわ・・・」

「おい。どうしたんだ」



厳しい表情をしたロビンに、ゾロがちょっとだけ眉間に皺を寄せながら尋ねた。





「その若さにして、何人もの賞金首と軍艦10隻ほどの敵を・・・――たった一人で、しかも丸腰で倒したらしいわ。それに、海軍の中でもトップクラスの人材。放浪癖があることで有名で、偶然彼に出会ってしまったばかりに、捕らえられた海賊も少なくないっていう話もあるわ」

「・・・そ、そんなスゲェヤツだったのか・・・」



ウソップが絶句する中「兄ちゃん、やっぱスゲェや!」と目を輝かせるのが、ルフィだ。








今回、ナマエによって捕らえられなかったのは、紛れもなく弟のルフィのおかげだろう。

もしも、この船にルフィが居なければ・・・





間違いなく、船は沈められていただろう。


















「フフッ・・・ルフィ、立派になってくれて嬉しいです」


船の上で微笑んだナマエの近くにいる海軍の人間は、ちょっとだけため息をついた。



今回の放浪で、一体何人もの海軍が捜索に出たことか・・・

それを思うと、兄も弟同様、周りを巻き込むのが得意と思われる。





兄ちゃんは海軍






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