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パラリッと、医学書のページを捲るローは、こんこんっと小さなノックの音を聞いた。


そのノックに「入れ」と言えば「ぅんしょっ」という声と共に扉がゆっくりと開いた。





「きゃぷてぇん」


ちょこちょこっと効果音が付きそうな歩き方でローの傍へとやってきた小さな子供に、ローは本を読む手を一旦止める。




「・・・おぅ、何だナマエ」


「あのね、あのね、コックがね、ごはんだよーって」




ぷにぷにとした柔らかそうなほっぺに、紅葉のような可愛らしい手。


ハートの海賊団のクルーたちが来ているのと同じようなつなぎを着た可愛らしい幼児の言葉に、ついつい顔が綻んでしまいそうになる。




「そうか。だが俺は今本を読んでる途中――」


ふにぃっと顔を泣きそうに歪ませているナマエを見てしまい、ローは言葉を止めた。





「・・・はぁっ、じゃぁ行くぞ、ナマエ」

「うん!」


ローはナマエの小さな身体を抱き上げ、食堂へと歩く。














「お!連れて来たなぁ」

「流石はナマエ。やっぱり呼びに行かせるならナマエが一番だなぁ」


クルーたちが次々に言う中、ナマエはにこにこと笑みを浮かべる。




「えへへっ、えらい?えらいぃ?」


「あぁ!とっても偉いぞぉ!」

シャチにぐしゃぐしゃと頭を撫でられたナマエは嬉しそうに笑う。



ローは近くの席に腰をおろし、その膝の上にナマエを乗っけた。

するとナマエは嬉しそうに「きゃぷてんのおひざぁー」と声を上げる。



その光景に和むクルーたちの目の前に、コックは美味しそうな料理を出してくる。


ナマエの目の前には、他のクルーとは別のお子様ランチ。





「コックぅ、ありがとう!」

「おぅ。デザートも付いてるからな」


「わぁーい!」



きゃっきゃっと屈託のない笑みを浮かべると、目の前のお子様ランチを食べ始めた。


ローもローで、自分の手元にある食事を食べ始める。





「きゃぷてん」

「何だ?」


「あーん」


そう言って差し出されたのは、タコの形に切られたウインナー。所謂、たこさんウインナーというヤツだ。



「これ、おいしぃーよ」

「あぁ、有難うな」


ローは一瞬動きを止めたが、すぐにナマエの差し出したウインナーを食べた。




「おいしっ?」


「あぁ、美味いな」

「わぁーい!」


嬉しそうに笑うナマエの目の前に、コックが「ほら!デザートだ」と笑って出す。





まるで宝石のようにキラキラと輝く紫色のゼリー。




「ぶどー?」

「あぁ。好きだろ?葡萄のゼリー」


「だいすき!」


ナマエはえへへっと笑いながらプルップルのゼリーを口へと運んでいく。




「おいしぃー!」

ほっぺに手を当てて言うナマエに周囲を和むしかない。




「ナマエ。一口」


「うん!きゃぷてんにも、ひとくちー!」



ナマエは口を開けて待っているローにゼリーを上げた。





「あ!キャプテンばっかずるい!ナマエ、俺も俺も」

「俺にもー」


シャチとベポが近づいてきて、口を開ける。


ナマエは笑顔でシャチとベポの口にもゼリーを入れる。





「馬鹿野郎共。何良い大人が揃ってたかってんだ。ナマエのゼリーがほとんどなくなるだろうが」


コックが顔を引き攣らせながら言うとおり、ナマエのゼリーは残りわずか。




「ご、ごめーん、ナマエ」

「ごめんな、ナマエ。もっと食べたかっただろうに・・・」


シャチとベポが謝る中、ナマエは笑顔で首を振った。



「きゃぷてんと、しゃちと、べぽが、よろこんでくれたら、うれしーからいい!」



「「ナマエ〜〜っ!!!!!」」

わっしゃわっしゃと頭を撫でられるナマエ。



背後からはローがぎゅーっと抱き締めてくれる。


ナマエは至極嬉しそうな顔で「わぁーい」と声を上げながら残りのゼリーを食べた。





「ナマエ。今日は一緒にねるか」

「わぁい!きゃぷてんとおねんねぇー!」


その日の夜、ナマエはローと共に幸せそうに眠りをついた。




「ナマエ。今日は俺と寝るか!」

「じゃぁ俺とは一緒に風呂に入ろうな」

「一緒にお昼寝しようねぇー」


「うん!しゃちとおねんね、ぺんぎんとおふろー、べぽとおひるねー!」


ハートの海賊団の癒し、ナマエは今日も人気者であった。




癒し担当




ハートの海賊団のアイドル的存在ショタのデフォルト名はメバル君とか・・・。←



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