スリッとナマエは目の前の愛しい人の首に頬を摺り寄せた。
「好き好き好き好き」
「・・・・・・」
笑顔で好きを連発するナマエ。
けれど相手、ローは医学書から目を離すことはない。
それでもナマエは構わないのか、より一層笑みを浮かべて言うのだ。
「大好き!大好きキャプテン!大好き大好き大好き!」
「・・・・・・」
「好き大好き愛してる!愛してる愛してる愛してるよキャプテン」
ピタッと、ローが医学書のページを捲る手を止めた。
そろそろ鬱陶しいと怒られてしまうだろうか、という不安はナマエにはない。
何故なら、今こうやってローの背中に抱きついて愛を囁ける、それだけでも十分幸せなのだから。
愛する愛するローに、自分の精一杯の愛の言葉を伝えたい。
それは、今発している言葉だけでは到底足りないし、全てを言葉で表せるとも思っていない。
それでも伝えたいのだ。自分がどれだけローを愛しているのかを・・・
「・・・ナマエ」
静かな声で自分の名を呼ぶ愛しい人に、ナマエは嬉しそうに顔を上げた。
「愛し――ん?何、キャプテン」
チュッ
「・・・ふぇ?」
こっちに顔を向けていたローと、唇に感じる小さな感覚。
「少し黙ってろ」
一瞬理解が遅れるナマエに、ローは一言そう言って、再び視線を医学書へと戻した。
口をパクパクと動かすナマエはさながら魚のようだ。
辛うじて発することが出来た言葉と言えば・・・
「・・・ぁ、アイアイ・・・キャプテン」
それだけだ。
カァァアアッと顔を赤くして俯き黙るナマエは、スリッとローの肩口に顔をうずめた。
ちょっとお静かに
「ん?何してんだあの二人」
シャチとペンギンは甲板にいる二人を見つけた。
ナマエはローの肩口に顔をうずめたまま動かず、ローはぱらぱらと医学書のページを捲っている。
「ナマエ顔真っ赤・・・って、キャプテンの耳も赤い・・・」
「・・・ROOM」
「「うわぁぁああっ!?」」
今回の被害者、シャチ&ペンギン。