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名前という少年は俗に言う美少年だった。


10人に10人は確実に振り返る・・・絶対的美少年だった。

女子生徒は名前が傍を歩くだけでうっとりとした顔をし、笑えば気絶してしまいそうになる程。


そんな名前は腕にコンビニ袋をぶら下げながら、学校の階段をゆっくりと上っていた。



すると正面から女子生徒が少し急ぎ足で階段を下ってくる。

女子生徒は名前の傍を横切ろうとしたとき、一段踏み外し「きゃっ!?」と声を上げた。






「っと、危ない」


軽々と支えられた女子生徒は目を白黒させ、自分が助けられたのだと理解する。




「す、すみません・・・!」

「いや。君に怪我がなくて良かった」



にこっと微笑んだ名前に女子生徒は真っ赤な顔になり「ぁ、有難うございました!」と声を上げるとキャーッ!と先ほどとは違う種類の声を上げて去って行った。



名前という少年は俗に言う美少年である。しかしただの美少年ではない。


美少年名前は、内面はとても男前だった。

義理人情に厚く、男子生徒からの人望も厚い彼は、美少年だからと言う理由で男子生徒から嫉妬の目を向けられることもなかった。






階段を上って行く名前は、階段の終わり、屋上の扉の前へと来た。

ギィッと開いたその扉の外に出れば、真っ黒な学ランがひらりと揺れ動くのが視界の端に映し出された。






「承太郎」


「・・・ぉう」





名前はにっこりと笑みを浮かべながら承太郎に近づいていく。




「お待たせ。遅くなってごめん」


「いや。そこまで遅くねぇよ」

「有難う」


名前は承太郎の隣に立つと「今日は天気が良いね」と空を見上げた。




比較的、名前と承太郎は仲が良い。

承太郎は多くを話さないが、騒がしくない名前とは特に喋らなくても分かり合えるほどの仲だった。





「今日も授業、いなかったね」

「ダルイ」



「あははっ、承太郎は相変わらずだなぁ」


名前はぶら下がっていたコンビニ袋からサンドイッチとジュースを取り出す。

ジュースは二つ。一つは承太郎の分だ。




「はい、どーぞ」


「ジュースかよ」



「生憎僕は承太郎と違って二十歳までは飲まないことにしてるんだ。もちろん煙草も買ってきてないよ」



その言葉に承太郎は「・・・けっ」と言いながらジュースを飲む。

その隣で笑いながらサンドイッチを食べた名前。




「聞いたよ。昨日も喧嘩したんだってね」

「・・・あのうるせぇアマ共か」



「アマとか言わない。あれでも、君のことが好きで騒いでるんだから」


「・・・お前目当てで叫んでる奴らだって多いだろ」




「あははっ、否定はできないかな」





困ったような顔をした名前はごくりとサンドイッチを飲み込み、ジュースを一口飲んだ。




「けどまぁ・・・承太郎のことを顔だけで好きになる女の子は、ちょーっと気に食わないかな」

「・・・何だ、いきなり」



ぐいっとジュースを飲んだ承太郎は、空き缶をぐしゃりと握りつぶす。





「承太郎はこんなに良い子なのに、そこじゃなくて顔だけを見て好きになる子もいる。それがとっても残念なんだ」

「・・・・・・」


「僕は、承太郎の内面もぜぇーんぶ好きだよ」



女子生徒なら悲鳴を上げて気絶しているであろう甘い笑顔。

それを見た承太郎はグッと身を固くする。








「・・・お前、ぜってぇたらしだろ」


帽子を深く被ってからそういった承太郎に、名前はにっこりとほほ笑んだ。




「さぁ。けど、こんなことを言うのは承太郎にだけだと思うよ」

「・・・・・・」


帽子で隠れ切っていない耳が赤く染まっているのを見た名前は、小さく微笑みながら「午後は僕もサボっちゃおうかな」と楽しげに言った。





美少年と不良




あとがき

今回は『質問』の
【承太郎のお話がみたいです!!】
を実行しました。

承太郎さんの格好良さが表現できず、承太郎さんファンに申し訳ないです(滝汗)




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