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どーも。

ガラス職人のナマエです。


実はスタンド持ってます、はい。


え?どんなの?そりゃ、職人としてとっても価値あるものですよ。



スタンドに食べさせたものを好きな形状に出来るんです。

そりゃもう、僕の思いのままに美しい作品の数々が出来ます。


ガラスを食べさせればガラス細工が。石を食べさせれば彫刻が。



食べさせた物からいろいろなものを作り出せますけど、やっぱり一番作って楽しいのはガラス細工ですね。

ガラスのあの美しさ、あぁ素敵です。






・・・ん?あぁ、確かに戦闘向きではありませんよね。けど、僕の周囲は平和でしたし、別に戦う理由なんてなかったんです。





“スタンド同士は引かれあってしまう”





そんな言葉だって、今の今まで知らなかったぐらいで。

・・・はい。今の言葉でわかる方もいるかもしれませんが・・・





「ぁ、あのー・・・どうすれば僕を解放してくれますかぁ?なんて・・・」





ただいま、絶賛拉致られ中です。

しかも自分以外のスタンド使いに!


相手はもはや何人殺してんの!?と叫びたくなるぐらい威圧感に溢れた金髪のイケメン。


何かテレンス?という人に『DIO様』とか呼ばれてた。



いや、名前とかはどうでも良いんです。

今僕が一番大事だと思うのは、僕の安否!!!!





床には艶めかしい美女・・・の死体が転がっていて、血臭もする。

真っ暗で最初は良く見えなかったが、目が慣れてきてぼんやりと周囲の様子もわかる。


美しい部屋。美しい女の死体。美しく豪華な椅子に座って足を組む、美しい金髪のイケメン・・・





・・・あぁ!この部屋に僕の作品を飾りたい!!!!!





どうしましょう。恐怖よりも芸術家魂に火がついてしまいました。





「ガラスをください」

「・・・ほぉ?」


「ガラスが無ければ何でも良いです。土でも泥でも何でも良い!僕に何か材料をください!!!!あぁ、どうしよう、この胸の高鳴りが抑えられない・・・何か、何かありませんか!?」



「ではそこに転がっている死体を使え」


「死体・・・」

当たり前だが、今まで人間の身体を使ったことなんてない。

けれど今の僕は、何か作りたくて仕方がなかった。



僕のスタンドがブワッと姿を出し、ためらいもなく美女の死体を飲み込む。


初めて死体を飲み込んだ感想は特には無く、スタンドはその身体から一つの芸術品を生み出した。






目の前のイケメンが少しだけ目を見開き「それがお前のスタンドの能力か」と声を発した。


イケメンだけではなく、僕だって絶句していた。





「・・・最高の出来だ」


さっきまで怯えていた自分が嘘のように、僕はスタンドの吐きだした芸術品を見る。


まるで真珠のように美しい骨の白。亜麻色の髪に青い瞳・・・

贓物も何もかもがまるでそのためだけに存在していたかのように、美しく配置され、一つの彫刻の様なソレが出来上がっていた。





僕の目に涙が浮かんだ。






「こんなに美しい物が作れるのなら、もっと早く作っておけば良かった・・・!」


死した美女の魂は浮かばれないだろうが、そんなもの関係ないと思えるぐらい、目の前のソレは美しい。

僕の勝手な考えだが、生きていた時よりも・・・





「血を吸った後のゴミが、此処まで美しくなるとはな」





その言葉に目を見開く。


「・・・美しいと、思ってくれますか?」

「あぁ。このDIOが見てきた何よりも美しい」


ふっと笑った目の前のイケメンに、僕は安堵にも似た笑みを浮かべた。


真夜中、作業場でガラス細工を作っていた僕を突然拉致した目の前の相手。

恐ろしくて仕方ない相手だが・・・






「・・・けど、この美しさじゃ足りない。貴方には、もっと美しいモノが似合う」


「ほぉ?それは何だ?」



「わからない。けど・・・作りたい!最高の作品を作って・・・貴方の傍に飾りたい!」

今まで感じたこともない興奮に、僕は口がにやけてくるのを感じた。


相手はさぞ愉快そうに笑うと、椅子から立ち上って僕のすぐ傍まで歩いてくる。




「食べたものの形状を変える能力か・・・その能力、このDIOのために使え、ナマエ」


美しい顔が近くにある。

名前が既に知られている驚きもそこそこに、芸術家としての僕の心が躍った。




「材料をください・・・もっと作りたい。この興奮は、醒めそうにない」


「ふっ・・・いいだろう」




僕はその返事に笑って、自らのスタンドで部屋に転がっている死体を全て作品に変えた。






芸術家の堕落




(あぁ、美しい。けどこれじゃ足りない。そうだ、死んでるから駄目なんだ。生きてる人間を作品にしてみたい。大丈夫、生きたまま作品にするんだから、殺してない。だから大丈夫。そうですよね?DIO様)
(ククッ・・・あぁ、そうだな。お前は素晴らしい芸術家だ)
(もったいないお言葉です)



あとがき

何気にこの主人公は気に入っています。←

デフォルト名:ガリエラ
元はただのガラス職人。
DIOのところで新たな“作風”に目覚めてしまう。
基本は控えめだったり臆病だったりするが、一度作品制作に入ると態度が一変する。





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