■アドルフさんを助けたゴキブリの話。
題『死んで生まれ変わったらゴキブリになってましたチクショウが。』
転生トリップ。
が、転生した先がまさかのゴキブリ。
頑張って頑張ったら何とか言葉が喋れるようになった。でもちょっと発音悪い。
アドルフのファンだから助けたい。というか助ける。
・・・でも姿がゴキブリ。
存分に警戒されるし攻撃もされるけど、なんか最強で死なない。敵だったら一番恐ろしいヤツ。
アドルフさん+五班全員を救出後、ゴキブリ達からも人間達からも身を隠し取りあえず全員の治療に専念。たまにアドルフさん達を襲おうとするゴキブリ(仮にも同胞)をぎったんぎったんにする。
最初はエヴァちゃんとか含む五班にも怖がられるけど水汲んで来たり献身的に手当てしてあげれば何とか少しは慣れてくれた。
他のゴキブリとの区別をつけるためにとエヴァちゃんが首に巻いてくれたハンカチがお気に入り。何か首輪っぽいとか一瞬思ったけど嬉しい。
見た目ゴキブリだし普通に怖いけど喋らせたらそうでもない。と言うかアドルフ相手だけちょっとヘタレ。
好きなキャラだというのもあるけど、実物見たら美人過ぎて惚れた。惚れたけど結ばれないと分かってるからちょっと切ない。
最終目標は無事に地球に返してあげること。ゴキブリ退治は俺に任せてね!な心意気。
・・・でも本当は自分も地球に帰りたい。転生して火星で独りぼっちだったからせめて誰かの傍にいたい。哀しいのにゴキブリだから涙は出ない。
喋れるゴキブリってことで捕獲されかけちゃいそう。
でもそこはアドルフ率いる五班が頑張ってくれそう。
五班以外にはもちろん警戒されるけど、ちょっとずつ打ち解ければ良い。
『じょーじ・・・』
嘘でしょー・・・と項垂れる。
黒光りする“ソレ”が水面に映っていた。
ソレは俺で、俺はソレ。あぁ、なんてこった・・・
俺はどうやら――ゴキブリになってしまったらしい。
どうしてこうなってしまったのだろう。
『ア゛ド・・・ルフ、ざん゛・・・動ぐ、だめ゛。ゆっぐり、ずる』
(ちょっ!まだ治療途中なのに何で運動始めようとするの!?駄目だって!傷口開くって!!!)
「・・・煩いぞ、ゴキブリ」
『ご、ごめ゛ん・・・なざい』
(うあぁぁあッ、どうせ俺はゴキブリだけどさぁ、そんなはっきりゴキブリって言われると物凄く傷つくんですけど!けどアドルフさん美人!素敵!大好き!けどけど、うあぁぁあっ、ショック受けたぁぁぁぁあっ)
「・・・おい、何か班長遊んでないか?項垂れてる○○見てちょっと笑ってるぞ」
↑へたれゴキブリな主と主で遊ぶアドルフさんのたまに緩い話。
2015/3/21戻る