くるくるくるくる。
目が回ります。
頭がくるくるしています。
くるくるくるくる。
きっと僕は頭が可笑しいの。
くるくるくるくる。
「おい、秋典。何やってんだ」
「あー。人識君だぁー」
「・・・相変わらず、変なヤツだな」
その場でくるくると回っている僕を見ながら言葉を発する人識君。
回りすぎてくらくらします。
でも、くるくると僕は回るんです。
「気分悪くならないか?」
「はぁーい。世界がぐるぐる回って、胃の中のものをリバースしそうでぇーす」
「じゃぁもう止まれよ」
「止まれませぇーん。くるくるくるくるだからぁ」
意味わかんねぇ、と人識君は笑いました。
「お前、裏世界の奴等みたいに頭のネジ飛んでるぜ」
くるくるくるくる。
回りながらそんな言葉を耳にします。
「ぅ〜、くるくる。人識君のお知り合いは、僕みたいにくるくるですかぁー?」
「お前みたいに物理的に回ってるわけじゃねぇけど、まぁ頭の中くるくるしてるんじゃねぇの?」
「人識君もですかぁー?」
「ククッ。あぁ、くるくるだ」
笑いながら返事をした人識君のおててを掴んで、一緒に回ります。
あ、おい。と止めようとする人識君に構わず、僕は人識君を巻き込んでくるくるします。
一緒にくるくる回ってるから、人識君は僕の目の前で止まって見えます。
「くるくるぅー。人識君も一緒にくるくるでぇーす」
「あぁー・・・少しだけだからな」
そういって一緒にくるくる回ります。
嗚呼、世界がくるくるくるりん回ってます。
「世界がぐにゃぐにゃですよ、人識君」
「傑作だな。世界は元々ぐにゃぐにゃだろ?」
「人識君は面白いですよぉ〜。世界がもう歪んでるのに、僕はもっと自分の見てる世界を歪めようとしてるみたいですよぉ」
「やっぱり、傑作だな!」
世界がくるくる。
僕がくるくる。
人識君がくるくる。
もう、リバースしちゃいそうなぐらい、ぐにゃぐにゃです。
「世界がぐにゃぐにゃだからぁ、僕と人識君だけが世界で止まってますよぉ」
「もしくは、俺とお前だけがぐにゃぐにゃ歪んでるのかもな」
「わぁーい。世界で人識君と二人ボッチですよぉー」
くるくるくるくる。
独りぼっちの僕のくるくる世界に、人識君が入ってきてくれました。
だから、今は二人ぼっちなんです。
「くるくる、楽しいですねぇー」
「ぅわ、俺までくらくらしてきた」
「わぁーい、お揃いでぇーす」
くるくるくるくる。
人識君がゆっくりと足を止めます。
釣られて、僕の足も止まります。
世界がぐにゃぐにゃ、足取りふらふら。
人識君と一緒には「ぉっとっと」とその場に座り込みます。
頭がぐるんぐるんです。
「あ゛ぁー!くらくらする!」
「はぁーい。くらくらでぇーす」
そう言うと、人識君がにっと笑いました。
「たまには、くるくるじゃない世界を、一緒に楽しもうな」
「はぁーい。くるくるじゃない世界でも、遊びたいでぇーす」
けど、一緒に遊ぶのは人識君だけが良いです。
だって、
僕だけしかいなかったくるくる世界から僕を引っ張り出したのは、人識君なんですから。
僕がくるくる世界に帰るときは、人識君も一緒に逝きましょうね。
くるくるくるくる。
僕の思考はくるくると賑やかでした。
くるくる世界のくるくる少年
くるくるくるくるくるくるくるくる・・・。