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〜♪



鼻唄を歌いながら、ナマエはカンシュコフの近くまで寄り「交代の時間だぞ」と言う。





「・・・またお前の時間かよ。お前の時間の後、囚人達が良い気になって、ムカツク」

「囚人にだって、心休まる時間を提供すべきだろ?精神状態だって、大切だ。な?」


穏やかな笑みを浮かべているナマエに、カンシュコフはため息をつく。





「・・・お前は、呑気だよな」


「カンシュコフ。お前は、囚人に返り討ちにされすぎだ」




「グッ!!!!!!こ、この野朗・・・」

「んじゃ。俺にバトンタッチだな。







――楽しい時間の始まりだ」






カンシュコフとバトンタッチしたナマエは、目だけで中を覗き込む。





「やぁ、こんにちは。精神安定を推進しているナマエだ」


「わぁ!こんにちは。僕はプーチンです!」

元気良く返事をしたプーチンに、ナマエはニコッと笑う。




「うん。プーチン君だね。君は、別に診断はいらなさそうだけど・・・そうだね。そっちの子はどうだい?」


「キレネンコ!ナマエさんが呼んでるよ!!!!」

プーチンが雑誌を読んでいたキレネンコに声をかけた。




「・・・めんどくせぇ」

返って来たのは、明らかに不機嫌そうな声。





「そういわずに。こっちにおいでよ、キレネンコ君」


ギロッとナマエを睨んだキレネンコだったが、ナマエは終始笑顔。





「悩みとか、困ったこととかは無いかい?」

「・・・牢獄生活」


「あー・・・それは、ある意味では仕方ないね。けど、大変でしょ?此処の担当、カンシュコフだし。毎回毎回いちゃもんつけてきたりさ」

「・・・まぁな」



「自分の仕事だけをすれば良いのに、スキあらば囚人に嫌がらせしようとするしね。キレネンコ君は、軽くあしらえるけど、一応他の囚人からのクレームは絶大でね。さっき、別の部屋で精神診断してるときなんて、ドア越しに泣かれちゃったよ」

小さく笑って言ったナマエに、キレネンコは特に反応も見せず、ただナマエを見ている。





「プーチン君は問題ないとして・・・」


キレネンコの後ろでコサックダンスを踊るプーチンに、ナマエは苦笑を向けた。





「君は靴が好きなんだね」



「・・・あぁ」

ピクッと反応したキレネンコに、ナマエは微笑む。






「今アッチに並んでる靴だって、結構値が張るものばかり。大変でしょう?手入とか」


「まぁな・・・けど、嫌じゃない」


大好きな靴の話だからだろう。

キレネンコの言葉数が増える。




「俺の場合は、仕事柄・・・しょっちゅう囚人の子達とか同僚の相手をしてる間にボロボロになっちゃうからね。あまり高価な靴ははかないようにしてるんだよ。ここ、実は安月給だしね」

月末なんて、ピンチだよ。とナマエは苦笑した。




「・・・・・・金、無いのか?」

「残念ながらね」


目しか見えないが、ナマエが肩をすくめたのがわかった。




「・・・」

「?キレネンコ君?」




突然、キレネンコがナマエから離れた。


飽きちゃったかな?とナマエは苦笑。

しかし――






ズィッ

「・・・・・・ぇ?」




「やる」


「・・・・・・」



目の前に差し出されたのは、綺麗に磨かれている靴。

明らかに高そうなそれを、キレネンコに差し出されたナマエは「いいのかい?」と尋ねる。




「あぁ」


コクッと頷いたキレネンコにナマエは笑いかけ、下の戸口から受け取った。




「綺麗な靴だね。傷でもつけたら大変」

「気にすんな・・・」


「クスッ。じゃぁ、キレネンコ君たちの精神診断の時には履いてくるから」




「・・・あぁ」

照れたのだろうか?


ちょっとだけそっぽを向いたキレネンコ。



ナマエはその様子にまた微笑み「おっと、時間だ」と呟いた。






「じゃぁ、キレネンコ君も大丈夫だという診断で良いかな?」

「あぁ」



「じゃぁ、俺はもう行くね。有難う」


ニコッと笑ったナマエに、キレネンコがちょっと笑った気がしたのは、プーチンの気のせいだろうか?










「なんだよ、その靴」




「貰っちゃった」

ニコッと笑ったナマエを、カンシュコフが睨みつける。





「・・・餌付けされてんじゃねーよ」

「失礼な。俺は、純粋に可愛い子からのプレゼントを喜んでるだけだ」


ナマエは笑顔でその靴に触れる。





「ま。この靴はしばらく飾っとこうかな」


「・・・馬鹿か。お前」




「だって、思わない?彼は、きっとそろそろ脱獄するよ?」




「・・・・・・」

カンシュコフが顔をしかめる。

ありえる未来だったのだから。




「彼らが脱獄したら、外で会う。その時に、履いておくとしよう」



だって








――目だけしか、相手は知らないのだから、靴がないとわからない。







そう呟いたナマエはカンシュコフに「じゃ。仕事がんばって」と呟いてから離れていった。















ナマエの言葉通りキレネンコたちが脱獄して、

キレネンコたちの目の前に・・・







「やぁ、こんにちは」







綺麗な靴を履いた男が現れるまで・・・


あと少し。




精神診断いたします



あとがき

今回は『質問』の
【脱獄兎でキレネンコが見たいです(´Д`*)】
を実行させていただきました。

・・・軽く男主が餌付けされているような感じがしますが、お気になさらず!!!!!←

プーチンは、何時でも明るくニコニコしてるっぽいです。


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