――目が覚めたら赤ん坊になってました
見たいな感じで始まる物語って言えば、大体が転生しちゃった☆とか、誰かに成り代わっちゃった☆っていう感じなのだろう。
確かに俺は転生した。
そしてとある人に成り代わった。
よくあるパターン。これぞ醍醐味って感じだ。
んで・・・
俺が誰に成り代わってしまったのかといえば――
「円堂〜!」
「お!風丸!」
円堂守君でした。
ちなみに、名前は『守』じゃなくて『名前』。
いやぁ、良かったよ。名前だけは違って。そうじゃないと、自分の中でも分別が出来ないからな。
原作どおり、俺は風丸という女顔な(此処重要←)幼馴染がいる。
そりゃもう、小さい頃はマジで女の子かと思ってしまうぐらい可愛かった。いや、今も可愛いけど。
小さい頃『おれね、じつはぜんせのきおくあるんだよ』と幼い幼い風丸に言ってあげたことがあるけど、当時の風丸はといえば、『ぜんしぇ?かっこいー!』と可愛らしく笑っただけだった。
いや・・・あの笑顔は殺人級に可愛かった。←
だって、物凄く可愛いんだよ!?
幼稚園の時、おままごと(風丸主催)をしていたら『ぉっきくなったら、ほんとに、えんどぉのおよめさんにしてね?』と上目遣いで言われたし!・・・まぁ、本人が覚えているかは知らないけど。
後ろからトテトテと可愛く付いて来る風丸は、もはや宝だ!可愛すぎて俺は死にそうだ!!!!!!!!!
「帰りにコンビニによっていかないか?」
「ん?何か買いたいものでもあるのか?」
風丸の誘いに首を傾げた俺。まぁ、風丸の誘いを断るわけもないけど。
「髪ゴムが千切れそうなんだ。コンビニで代わりを買おうと思って・・・」
そういう風丸に「そうなのか?」と言いながら、その綺麗に結われているポニーテールの結び目を確認。
ぅーん。確かに、ゴムが何処となくほつれてるような・・・
流石は風丸。ゴムの寿命までわかるぐらい、長年髪を結ってたんだな!知ってるけど!
「わかった。ついでにアイス買おうな!」
ニッと笑いながら言えば、風丸は笑顔で「あぁ」と頷いた。
笑った顔はもはや美少女だった。グッジョブ。←
「ふわぁ、流石にコンビニは涼しいなぁ」
コンビニに足を踏み入れた瞬間、俺はへらぁっと笑った。
風丸は「そうだな」と小さく笑い、迷わずコンビニの一角にある雑貨コーナーへ。俺はそれについていく。
「へぇー。髪ゴムって、いろいろあるんだなぁ」
感心しながら見ていると、一つの髪ゴムが目に入った。
白いフリルが控えめにあしらわれている、ちょっと可愛い感じの髪ゴム。
あれか。これがシュシュってヤツか。
「風丸、これ良くね?風丸にめっちゃ似合う」
「・・・円堂。殴っても良いか」
「え。それは困る」
軽く拳を構える風丸を慌てて押さえて「ぉ、俺、アイス選んでくるー」と言い、そのままアイスのある場所まで逃げた。
ふぅ。風丸は可愛い見た目に反して吃驚するぐらい男前だったり怖かったりするときがあるからな。そこも可愛いけど。
「パピ●にしよっかなぁー」
二人で分けられるしな、パ●コ。
パピ●を手にレジへと向かう俺。どうやら風丸は既に買い物を済ませていたらしい。
コンビニの入り口辺りで髪を結いなおしているのが視界に入った。
「かーぜまる」
「ぅわっ!?冷たいっ」
ピトッと風丸の頬にパピ●をくっつけると、ビクッと震えた。
俺はニッと笑いながら「アイス、一緒に食べよーぜ」と言った。
「あぁ、有難う」
小さく笑って二つに分けたうちの一方を受け取った風丸。
冷たいアイスを食べていると、視界に入る風丸の髪が視界に入って・・・
「ぁれ?それ――」
「?・・・ぁっ、こ、これは・・・」
俺の視線に気付いた風丸は慌てて髪を・・・いや、その白い可愛い髪ゴムを押さえるように隠した。
「ちゃ、ちゃんと普通のゴムも買ったんだからなっ。ぉ、俺の趣味とかそういうのじゃなくて、そのっ」
ごにょごにょっと言い訳をする風丸。
その間も、俺の視線はその白い髪ゴムへと向いている。
「ははっ。良く似合ってるぞ、風丸」
「!・・・そ、そうか」
下を向いてしまった風丸。
その耳が真っ赤に染まっているのは・・・
この猛暑のせいだろうか?それとも――
「アイス、早く食べようぜ」
「ぁ、あぁ」
とりあえず、俺は笑顔で風丸と一緒にアイスを食べた。
円堂の立場も・・・悪くない。
白い髪ゴム