ボールがぶつかると痛いよな。
だから、サッカーは嫌いだ。
けれど弟はサッカー馬鹿。
救いようも無いサッカー馬鹿なんだ。
「おい、守。ほっぺ、怪我してるじゃねーかよ」
そういいながら、守のほっぺに絆創膏を張ってやる。
「ん?有難う、兄ちゃん」
「おぅ」
笑顔でそういった守の頭を撫でつつ、俺は呆れる。
「そんなにサッカー、楽しいか?」
「もちろん!!!」
守は笑顔でそういった。
俺は「あっそ」と特に興味もないという態度で言う。
「なぁなぁ!兄ちゃんもサッカーしようぜ!」
「無理。俺、痛いの嫌いだし」
間髪いれず答える俺に、守が頬を膨らませた。
可愛いとか思ってないからな!!!
「守だって、痛いのは嫌だろ?それとも何か?手前はマゾか?」
「ち、違うって!痛いのは嫌だけど・・・サッカーは、最高なんだ!!!」
熱い。
熱すぎるな、守。
「ったく・・・怪我したら、ちゃんと治療する!これ、鉄則だぞ?」
こくっと頷く守の頭をくしゃっとした。
「・・・サッカー、頑張れよ」
「!!兄ちゃん大好きだ!」
ギュゥッと抱きついてくる守を「よしよし」と撫でてから、俺は思う。
俺って・・・
弟に甘すぎる。
弟に甘い