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髪型も整えて、実はこっそり靴も新しいのを履いて・・・




「こんにちは、ギャリーさん」


最近知り合ったカフェの店員の彼のもとへ行く。



「また来てくれたんですね」

「えぇ」


アタシのこの喋り方もまったく気にせずに笑顔で話しかけてくれる彼。

ネームプレートにはナマエという文字が書かれている。


アタシがこのカフェに来て初めて彼を見た時・・・




『いらっしゃいませ』


一瞬にして恋に落ちた。




爽やかな笑顔、優しい声、丁寧な物腰・・・


彼のことを知れば知るほど好きになっていく。






「カプチーノもらえるかしら」

「畏まりました」


にこっと微笑んで奥へと行ってしまう彼が戻ってくるのを、そわそわしながら待つ。

靴に気付いてくれるかしら?とか、髪型褒めてくれるかしら?なんて、ちょっと期待しながら。






「お待たせしました」


「あら、可愛い」




カプチーノにはハートの模様が出来ていた。


彼が「それは良かった」と笑う。



その笑顔に、つい赤くなってしまいそうになる。





可愛らしいカプチーノを手に取って飲む。


客はあまり・・・というより、アタシ以外いない。まぁ、まだお昼前だからかもしれないわね。





「・・・・・・」

カプチーノを半分まで飲み終えた時、アタシは彼の視線に気づく。


え?何、何?と内心慌ててしまう。




じっと彼に見つめられて、胸の鼓動が早くなる。





「あれ。ギャリーさん、何か・・・」


「ぇ?何?アタシの顔に何かついてる?」



や、やだ!ちゃんと鏡見て確認してきたつもりだったのに!






「いや、そういうのじゃなくて・・・何かこぅ・・・前より綺麗になった?」

「え!?」


突然の出来事で、カプチーノを吹き出しそうになった。ぁ、危ないわ。

け、けど、どうして突然・・・






「前も十分綺麗だったけど、今はもっと綺麗。んー・・・恋でもした?」


「!!?!?!?!!!?」




盛大に吃驚するアタシに、彼は小さく微笑みながら「ほら。恋すると綺麗になるって言うし」と言う。


あぁぁぁああっ!!!どうしてそういうことを言うの!?





「髪型も最近更に綺麗に整えているし・・・ぁ、靴も新しい。やっぱり恋でもしてるんですか?」


一気に頬に押し寄せてくる熱。




アタシは「ぇ、ぇと・・・」と視線を漂わせる。




あぁ、どうしようかしら・・・

今、言ってしまおうかしら・・・





「ぁ・・・突然こんなこと言ってすみません。驚きましたよね」


悩んでいるアタシを見て彼は何か勘違いをしたようで、申し訳なさそうにそう言った。






「ぃ、いいのよ」


「でも・・・」




「え?」






「ギャリーさんに想われてる人が、羨ましいや」






それって・・・

どういう意味なのっ?






「ギャリーさんみたいに素敵な人に想われるなんて、とっても幸せなことだと思いますよ」


「そ、そうかしら」



「えぇ」




ドキドキドキッ


「じゃ、じゃぁ・・・」




熱のせいで頭がぼんやりしてきた。

まるで夢の中にいるかのようなふわふわした感覚。








「アタシが・・・貴方を好きだと、言ったら?」



「・・・・・・」






沈黙。




あぁ、駄目じゃないアタシったら。

彼は話を盛り上げるためにあぁ言ったんだから。



変に勘違いして、恥ずかしいわ・・・


頬の熱が徐々に引いていく。

何だか泣きそうになってしま――







「もちろん、答えは『僕も』です」






「!!!」




「僕も、ギャリーさんが大好きです」

ぶわぁぁぁあっと赤くなる顔。




「ほ、ほんと?」


「もちろん」




「と、友達の好きじゃないのよっ?」


「わかってます」





「ほ・・・本当、なの、よね?」

「えぇ」



こくりこくりと頷く彼に、アタシは真っ赤な顔のまま「そ、そう!」と笑った。





「今日の髪型も靴も、とっても素敵ですよ」

「そ、そう?」



「えぇ。とっても」




恥ずかしくなって、残っていたカプチーノを一気に飲めば、ほろ苦いカプチーノが口の中に広がった。






ほんのりカプチーノ



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