×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -







俺は虎徹が嫌いだ。




いや、本当は愛してる。

けどとても・・・嫌いだ。憎いぐらい。




虎徹は俺を愛しているという。その言葉が嬉しいと思う。

けれど、その左の薬指のプラチナを見るたびに、俺の心が締め付けられるんだ。




本人は無意識なのかは知らないが、あのプラチナを大切にしている。


当たり前だ。大切なものなのだから。






けれど俺は・・・それが憎くて仕方ない。


愛しているのに憎いんだ。

愛情のすぐ隣に、燃え上がるような憎しみが広がっている。








「ナマエ・・・」

「・・・あぁ。愛してるよ、虎徹」



俺の首に腕を回し、そっと頬を寄せてくる虎徹。

その腰にするっと腕を回して強く抱き締めれば、虎徹の体温が伝わってくる。






温かい体温。


それとは対照的に、俺の心はとても冷えていた。







愛してる。けど、とても憎い。


そうだ。愛情と憎悪は紙一重の感情なのだ。




だからこそ、俺は自分の中に湧き上がる憎悪を否定したかった。けど、出来ないでいる。







「・・・虎徹・・・」

チュッとキスをする。そのキスに、虎徹も当然のように答えた。



視界に輝くプラチナが憎くて憎くて・・・

そのプラチナを纏う虎徹に憎くて憎くて・・・






「ッ・・・ナマエっ」


「ぁ・・・悪い」





唇を押さえて軽く顔をしかめる虎徹にハッとする。


俺のせいで切れてしまった唇からは、少しの血が滲んでいた。



そっと虎徹の頬を両手で挟むように触れ、その唇の血を掬い取るように嘗める。

無意識とはいえ、自分が虎徹を傷つけてしまったという事実は、今の俺をとても追い詰める。


虎徹は「ぃや、気にすんな・・・」と言うが、俺は大いに気にしてしまうんだ。







「愛してる・・・愛してるんだよ、虎徹」


「ぉれも・・・」





嘘吐きめ。そう言いそうになる自分の唇を噛む。

ギリッと、強く強く強く――






「今日のお前は、良く噛むな」

虎徹に言われて、自分の唇にも血が滲んでいるのに気付いた。


先程の俺を真似するように、虎徹が俺の頬を両手で包み、俺の唇の血を嘗め取る。


そしてギュッと俺の背中に腕を回した虎徹を、俺は更に強く抱き締める。

そうじゃないと、もう俺のものにはならない気がして、怖かったんだ。







「虎徹・・・」


愛してる。愛してるのに、お前が憎くてたまらないよ。


そのプラチナを外してくれないお前が、憎いのに愛おしいんだよ。







「愛してる」






「あぁ・・・俺も、ナマエを愛してる」

憎いならもう触れ合わなければ良いのに、



臆病なほど虎徹を愛している俺は・・・


今日も虎徹の“愛してる”を信じて、










同時にプラチナと虎徹を憎んだ。




愛情と憎悪は紙一重





戻る