どうしようもない人だ。
おじさんと同じで、僕にお節介を焼いて・・・
冷たい言葉であしらっても、あの人は何時も笑顔で僕に話しかけてくる。
しかも、あの人が何時も以上に僕に優しくしてくるのは・・・
「・・・大丈夫だよ。バーナビー君」
「・・・・・・」
僕が“過去”を思い出して閉じ篭ろうとしてしまう時。
薄暗い部屋の中で響くナマエさんの声。
まるで人形のように動かず、ただただボーッとしている僕に、ナマエさんは仕切りに声をかけてきた。
音を途絶えさせないように、ずっと声をかけてくる。
「バーナビー君。大丈夫だからね」
大丈夫だよ。大丈夫。
彼はそう繰り返す。
・・・何が大丈夫なんですか?
普段の僕なら嫌味の一つでも言えるのに、今は口さえピクリッとも動いてくれない。
ただただ大人しくナマエさんに抱き締められている状態で、
ただただ彼の体温を感じていた。
トクンッ、トクンッ・・・という、小さく聞こえる心音は、何故だか僕を落ち着かせ・・・
「私が傍にいるからね」
普段なら鬱陶しいその言葉が、とても愛おしく感じた。
それなくしては、自分が立っていられないような気さえした。
嗚呼、今の僕は可笑しい。
だからこんなに彼のこんな言葉が嬉しく感じるんだ。
そう思おうとすることも出来ず・・・
「・・・はい」
僕は静かに返事をしていた。
ただただ、極自然に返事をしていた。
彼は何時も通りの優しい笑みを浮べ、
僕を強く、けれどもそっと抱き締めた。
センチメンタル