羽虫くんの苦悩「というかお前、今までよく我慢出来たな」
「えっ?」
「蜻蛉は肉食性だぞ。蠅や蝶・・・飛翔する昆虫を空中で捕食する食性がある」
「た、確かに優一様が隣で飛んでるとき、やたらお腹が空いた気も・・・って!た、食べませんから!優一様を食べるなんてそんな!」
「獲物を丸齧りして食べるから、顎の力も凄いそうだ」
「も、もう言わないでくださいぃっ」
「縄張り意識も強いらしいな。縄張りに侵入されると激しく攻撃するらしい」
「・・・これは私も覚えがありますね。一度、私と名前くんが造った秘密基地に余所の悪魔が侵入したとき、烈火のごとく名前くんがブチ切れて相手をグッチャグチャに・・・」
芥辺の言葉とベルゼブブの言葉にガクガクと震えながらボロボロ涙を流し始める名前に、芥辺は満足そうに口角を上げた。
「というか氏は、さっきから何読んでるんですか」
「昆虫図鑑だ」
これをネタに弄るのが面白い。
そう言わんばかりの凶悪な笑みを浮かべる芥辺にベルゼブブはがくりと肩を落とす。大事な幼馴染であり親友である名前が芥辺に弄られ続ける日々を想像しただけで、胃が痛くなった。