「ポルン!!!!!とりっくおぁ、とりーとだ!!!!」
目を輝かせながらそういったゾロリに、ポルンは一瞬きょとんとする。
しかしすぐ笑顔になって「あぁ、ハロウィンですか」と頷く。
ポルンの店にやってきたゾロリは、まるで魔法の国の魔法使いのような格好をしている。
「ちょっと待っててくださいね。たしか、店の奥にクッキーが・・・」
店の奥に引っ込んでいったポルンは、しばらくすると綺麗な包みを持って戻ってきた。
きっと貰い物なのだろうが、包みからして、明らかに高級・・・
ゾロリはキラキラッと目を輝かす。
「あぁ、ありました。イシシ君ノシシ君と食べてくださいね」
笑顔でクッキーの包みを渡すポルンに、ゾロリは「サンキュー!」と満面の笑みを浮かべる。
無邪気なその笑みに、ポルンも笑みを浮べ「ゾロリさん」と呼びかける。
「ん?何だ――」
「トリックオアトリート」
「ゲッ・・・」
ゾロリはしまった!という顔で後ずさる。
「どうかしましたか?」
「ぇ、ぇーっと・・・じ、実は俺様・・・」
「お菓子、持ってないんですか?」
「そ、そのっ・・・ポルンにお菓子貰う気まんまんで来たから・・・」
持ってない。と冷や汗をかきながら答えたゾロリ。
ポルンはにっこりと笑って、
「じゃぁ、悪戯ですね」
「ぅっ、ポルンっ!きゃ、キャラが違うぞ!」
「クスクスッ。そうですか?」
何処か楽しげに笑うポルンに、ゾロリはグッと息を呑む。
「目、瞑って下さい」
「ぉ、おぅ・・・」
恐る恐る目を瞑るゾロリ。
そんなゾロリにポルンは――
チュッ
唇に小さな感触。
ゾロリがゆっくり目を開ければ、笑みを浮かべたポルンの顔がすぐ傍に・・・
「っ!ぃ、今・・・き、キス――」
「驚きました?」
悪戯です。と笑ったポルンに、ゾロリの顔がみるみる赤くなっていく。
「〜〜〜っ///ま、また来る!」
「はい。さよなら」
真っ赤な顔のまま、店から飛び出していったゾロリに手を振りながら、ポルンはフフッと笑っていた。
悪戯だってします。