「おっ。ポルンじゃねぇか」
「ぁ・・・ゾロリさん」
ポルンはゾロリの声に振り返り、その隈のある顔でちょっとだけ笑った。
「相変わらず、凄い隈だなぁ。大丈夫か?」
「はい。大丈夫ですよ」
「無理すんなよ?」
「はい」
小さな笑みを浮かべて返事をするポルンは「ゾロリさんも・・・無理をなさらないように」と呟く。
その声は何処か悲しげで、ゾロリは少しだけ動きを止めた。
「止めてくれ。そんな声だされちまったら、俺様・・・ポルンを俺様達の旅に連れて行きたくなる」
「おや。何故、連れて行けないんですか?」
冗談っぽく訪ねると、ゾロリは真剣な顔で言うのだ。
「ポルンは、薬問屋で忙しいだろう?それに、魔法の国には、お前を必要としてる奴等がいるし」
「・・・いるんでしょうかね、僕なんかを必要にする人なんて」
アハッ・・・
ポルンが口元だけの笑みを浮かべた。目は苦しげで、ゾロリはちょっとだけ唇を噛み締めた。
「絶対にいる!絶対だ!」
「・・・そうだと良いです」
ふいっと顔を背けたポルンは「ゾロリさんは、やはりお優しいですね」と呟く。
「ゾロリさん」
「なんだ?」
「僕、貴方と会話するの・・・好きですよ」
「!・・・そうか」
ちょっとだけ慌てたように返事をするゾロリに、ポルンは小さく微笑み「本当ですよ」と言う。
そのままギュッとゾロリの手を包み込むように握り、
「貴方といると、とても穏やかな気持ちになれます」
「っ・・・そ、そうか・・・?」
「はい」
にっこり微笑んだポルンはゆっくりとゾロリの手を離し「では、そろそろ僕も仕事がありますので」と言って歩き出す。
「ぁ、ポルン!」
「なんですか?」
「ぉ・・・俺様、もっ・・・ポルンと話すの・・・す、好きだ、ぜ・・・///?」
真っ赤になった顔を隠すようにして言ったゾロリにポルンは穏やかに笑って、
「はい。有難う御座います」
そう返事をして、そのまま歩いていった。
薬屋の穏やかな時間