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ガブリッ


「おぉ、おぉ。テリー君やい。俺は君の餌じゃないんだ。だから、離してはくれないかぃ?」

「おいおいテリー。名前を離してやれ」



テリーに手を噛まれ、微妙な表情をそれを見ている名前。

さらにそれを見ているトリコは、笑いながらテリーの頭を撫でた。



トリコに頭を撫でられ、やっと名前の手から口を離すテリーだが、その目は確実にまだ名前を狙っていた。






「俺、テリーに嫌われてるよなぁ?絶対」



「お前、何かしたのか?」

「そんなわけないだろぉ」





何故だかわからないがテリーによく噛まれる名前。

その理由は不明。





「ほら。手ぇ貸してみろ。また血まみれだ」


手当てしてやるよと笑うトリコに「あぁ、頼む」と名前も笑った。




「そのうち、大量出血で死ぬかもなぁ。俺」

「ハハッ。かもな」


「そこは否定しろよ。ちょっと怖くなったぞ」


ブルッと震えた名前にトリコはもっと笑い「お前はその程度じゃ死なねぇよ」と言った。




「あ。そういえばトリコ。デート、何処行く?」

「あ?デート?」


「デートっつっても、一緒に出掛けるだけだけどなぁ」




「じゃぁ、美味い飯食いに行こうぜ」

「トリコは飯ばっかだな。まぁ、良いけど」


フッと笑った名前に、トリコはさらっと「お前のおごりな」と言った。




「おぉい!?俺の財布を空にするつもりか、お前!」

「ハハッ!お前、結構稼いでるだろ。ケチケチすんな」




「・・・はぁっ、まぁいいけどな」


ため息をつきつつも、その口元に笑みを浮かべた名前は、そっとトリコにキスしようと――






ガブッ!!!!

「痛ッ!?!!!?!??!?」


「ぉ、おいおい、テリー」

名前の脚にテリーが勢いよくかぶりついていた。


痛みに歪んだ名前の顔を見ながら、トリコは「おい、テリー。離してやれって」とテリーの頭を撫でる。



一応は離すが、何時噛んでくるかわからない。

名前は再び大きなため息をついた。







「コイツ、俺とお前の邪魔してんじゃなぁの?」

「はぁ?意味わかんねぇ」


「だってコイツ・・・俺がトリコとイチャイチャしようとするときに一番強く噛むんだ」


大きく肩を落とす名前の言葉に、トリコはハハッと笑った。





「気のせいじゃねぇのかぁ?っと、俺はちょっと飲み物取ってくる」

「おいコラ。怪我で苦しんでる恋人ほっといて飲み物とか、お前は鬼か」


「それだけ喋れれば平気だろ」

トリコは笑いながら部屋を出て行った。






部屋に残されたのは名前と、名前を威嚇するテリー。


「・・・・・・」


こんな状況の中、名前は一人考えていた。

テリーは何故自分とトリコの邪魔をするのか。






「んー・・・」

『ウゥゥゥウウウウッ!!!!!』


「あぁ・・・そうか」


自分を見て物凄く唸っているテリーを見て、名前は困ったような顔をした。

理由なんて、ちょっと考えればわかる。





「なぁ、テリー」

『ウゥゥウウッ!!!!!』



「ぉわっと・・・」


今にもテリーが自分に飛び掛かろうとしているのを見て、軽く後ずさった。



名前は気づいた。

何故テリーがここまで自分に敵意を向けるのか。






「なぁ、テリー。お前さ・・・」

唸られつつも、名前はゆっくりとテリーに手を伸ばした。


その顔は優しく笑っていて、テリーは少しだけ動きを止める。





「・・・主人を盗られるんじゃないかって、心配なんだな。テリー」


自分で口にした言葉に、名前は妙に納得していた。

ハハッと笑いながらテリーの頭を撫でた名前は「大丈夫さ。お前の主人は、その程度でお前を見捨てたりなんかしないさ」と言った。


しばらく大人しく頭を撫でられていたテリーは・・・






ガブリッ

「・・・うん。テリー君やい。やっぱり痛いや」





また名前の手を噛んだ。

戻ってきたトリコが見たのは、




「ぃ、いいいい痛いって、テリー!」

テリーに噛まれながらも、何とかテリーを撫でている名前の姿だった。





動物VS人間



(「仲良いな、お前ら!」「痛ッ!これを見てそう思えるのか!?」)




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