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妹のペチュニアから・・・




『お兄ちゃん汚いから金輪際私に近寄らないで』




まさかの接近禁止令がだされました。

え?何突然。というか実の兄に向って酷過ぎるぜペチュニア。



「ぁーあ。まさか実の兄に向って汚いとか近寄るなとか・・・ペチュニアの潔癖症には困ったもんだ」


ふぅっと息を吐きながら肩をすくめて見せた。




「けど汚いのは事実だと思いますよ。・・・風呂、何日入ってないんですか」

「最近原稿の締め切り詰まっててさ。徹夜4日目だから、4日は風呂に入ってないな」


けど普段はもっと多いぞ?最高で何日だったかは忘れたが、その頃には俺にハエが群がるほどだった!

もしかしてあの時の俺の身体腐ってた?あー、いやはや、吃驚だ。




「ペチュニアに家を追い出されるのは理解できます」


理解できちゃうのかよ。

妹に家を追い出されるなんて兄の身としちゃぁ死活問題だってのに。




「けど、だからといって俺の家に転がり込んでくる理由がわかりません」

俺は予期せぬ言葉にきょとんとした。



「そりゃお前、ペチュニアと仲が良いヤツに悪いヤツがいないと思ったからだ」

「悪いヤツじゃないって思ってくれるのは嬉しいですけど、異臭を放ちながら人の家のソファでくつろがれるのは嫌です」


ハンディの言葉にちょっと肩をすくめる。






「わかったよ。じゃぁシャワーを貸してくれないか?そうだ、ついでに君も風呂に入れてやろう。両腕ないのに風呂に入るのは一苦労だろう?」

「留め具にひっかけたタオルに身体こすり付ければ良いので平気です」


「お前ハイテクだよな。まさにハンディ」





伊達に、両手ないくせに大工できてるだけはあるな。





「取りあえずお風呂は貸してあげます。けど、入ったらすぐに家に帰ってください。ペチュには連絡しておくんで」

「おぉ、ペチュって呼んでるのか。初々しいカップルだなぁ、こりゃ」


「〜〜〜っ!!!!か、からかわないでください」


「ほぃほぃ」

適当に返事をしながら脱衣所へ直行!





実はハンディとペチュニアが付き合っているという話は聞いてないが、周囲からはソレに近い仲だと認知されているらしい。

兄としては妹の今後が心配なのだが、ハンディのよいな男ならまた別の話。


ペチュニアに優しくしてくれるし、ペチュニアの気持ちもハンディに向いている・・・ように見えるし。


ま、実際のところはよくわからないけど。




風呂に入って頭からシャワーを被る。

久しぶりに感じた水の感触。



手にシャンプーを取り、頭を洗い始めた。

すると沢山の泡が・・・





「ぁりゃ、全然泡立たないな」


どうやら4日間の汚れはたった一回では落とせないらしい。


更に大量のシャンプーを使って頭を洗う。よし、今度は泡が出た。

こりゃ、ハンディに新しいシャンプーをプレゼントしないとな。






「〜♪」


鼻歌交じりに身体を洗っていると、扉の向こうから「ナマエさん」という声が聞こえた。





「ほーいほい」


シャワーで泡をざっと流してからガチャッと扉を開ければ、タオル持ったハンディがビクッと肩を震わせた。





「わっ!?突然扉開けないで下さいよナマエさん!」

「えー?何なに、俺の裸体に惚れちゃったり?」


「しません」



即答ですか。




「チェッ。あ、じゃぁペチュニアの裸体には惚れるか!」

「そういうのやめてください!」


冷ややかな目を向けられた俺は肩をすくめ「タオルありがとな」とタオルを受け取った。



ハンディが脱衣所から出て行ってからそのタオルでガシガシッと拭く。



「おぉ、服まで・・・」

裸で出ようとしたら扉の近くに服が置いてあった。

ハンディ、俺が全裸で徘徊するのを阻止したな。







俺は鼻歌交じりにその服を着て脱衣所を出る。


「ふはぁー、さっぱり」

「・・・・・・」


「ん?風呂上りの爽やかな俺に惚れそう?」


俺をジッと見てたハンディにニヤニヤした笑みを向けながら言えば、ハンディが顔をしかめる。





「・・・馬鹿ですか、ナマエさん」


ふいっと顔をそむけられた。





「はーいはい。ハンディは辛辣だなぁ」

俺は苦笑を浮かべながら水道の水を勝手に飲む。



「ペチュニアには連絡しておきましたよ。ペチュニアも反省してました。汚くても実の兄に近づくなだなんて言ってしまって後悔してるって」


「おぉー・・・汚いのは否定しないんだな。まぁ俺のせいでペチュニアが過呼吸起こすよりかは良いけどな」





俺はぽりぽり頬を掻いてから「悪かったなハンディ」と謝る。


「迷惑かけたな。この服も、ちゃんと洗って返す」

「良いですよ別に」


「あ。俺が脱ぎ捨てた服は処分してくれて良いから。あれ、すっげぇ汚かったろ?」




「水につけた瞬間、水が黒くなりました」

「あははっ、すげぇ」


けらけら笑いながらハンディに別れを告げる。




「ぁ、ナマエさん」

「んー?」




「・・・また追い出されたら、来ても良いですよ」


「!・・・おぉ、サンキュ」





ハンディがそっぽを向きながら言った言葉に俺はニカッと笑って、ハンディの家を去った。







「やーっべ。かわいい」


あの赤い耳を見ちゃぁ、こう思うのが普通だろ。




不清潔なお兄様



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