ナマエは愛された男でした。
同僚のフリッピーに、深く深く愛された男でした。
フリッピーが愛を口にする度『僕もだよ』と返事をするナマエに、周囲は相思相愛なんだなと笑っていました。
そんな二人は何時も一緒にいます。
訓練の時も実践の時も、フリッピーが覚醒した時だってずっとずっと一緒。
だって、フリッピーがずっと一緒にいたがったから。
覚醒したときのフリッピーも、ナマエを深く深く愛しています。
愛してるがあまりに暴力を振るってしまっても、ナマエは怒ることはありません。
ただ『好き』だと言えばナマエは『僕も』と答えるのです。周囲はそんな彼を尊敬しました。覚醒状態の彼まで愛せるなんて、なんて心が広いんだと。
周囲にとってもナマエは愛すべき男でした。
姿形もそうですが、その言葉も心も、何だって彼は美しく優しい。だから、愛された男でした。
彼を愛さない要素なんてただの一つもありません。
彼は愛されている。
だって彼は・・・
「ナマエ好き」
「僕も好きだよ」
「ナマエのこと大好き」
「僕も大好きさ」
「ナマエのこと愛してる」
「僕も愛してる」
「・・・ねぇ」
「なぁに」
「ナマエは何が好きで大好きで愛してるの?」
フリッピーの真っ直ぐな目を、ナマエは真っ直ぐと見つめ返します。
いいえ、正確には“彼の目に映る自分”を見つめています。
「・・・さぁ?」
曖昧な返事。
けれどフリッピーは知っています。本当は知っているのです。
「そっか」
けど口にはしません。
だって、彼を愛していますから。
彼は愛された男です。
何故なら彼は、周囲からも――彼自身からも、愛された男なのです。
愛が深い男の話
僕は(僕が)好きで大好きで愛してる!!!