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※嘔吐表現注意



エメトフィリア。

簡単に言ってしまえば、嘔吐や吐瀉物に性的興奮を感じる性的嗜好のことだ。


俺がこの変態的ともいえる性癖に気付いたのは、結構昔の事だ。

好きになったヤツは吐かせたい。吐いている姿を見たい。


そんなことを考えてしまう俺は、明らかに異常だったけど・・・








「ディド」

びくんっと彼の肩が震える。


俺が彼のことを愛称で呼ぶ時は、決まって“あの日”なのだから。






「な、なん・・・だい?」


恐怖心を隠した引き攣った笑み。

俺はその笑みに深い笑みで返し「おいで」と手招きをした。


本当は来たくないだろうに、スプレンディドはよたよたとした足取りで俺の方へと近づいてくる。

びくびくと震えるスプレンディドの姿は、普段のヒーローのソレとは違う。





「良い子だ、ディド」


俺は笑顔で・・・拳を振るった。



ドスッと鳩尾を殴れば、スプレンディドは「あ゛ぐぅっ」と変な声を漏らしながら床に膝をついた。

ガタガタと震える彼の口から唾液が零れ落ちて床を濡らす。







「ぁー、惜しい」

「ひっ、ぅ・・・ナマエっ」


「大丈夫だ、スプレンディド」


にっこりとほほ笑みかけながら言う。

別にDVの気があるわけではない。








「ちゃんと吐かせてやるから」


「ヒッ・・・」






俺はただ、相手の口から吐き出すものを見たくてたまらないだけだ。

床に膝をつくスプレンディドの傍に俺もしゃがみ込み、その頬に手を添えた。


そして・・・容赦なくスプレンディドの口の中に指を突っ込む。

喉の奥へと入り込めば、スプレンディドは「ォ、ェッ」と小さく声を漏らした。


その声にぞくぞくするものを感じながら、俺は口元をにやつかせる。





温かな口内。デリケートな喉の奥。

そこを無理やりこじ開ける様に指を進めれば、スプレンディドの目から大粒の涙が零れ落ちた。




可哀相に可哀相に。

こんな変態野郎に引っかかってしまったばっかりに。


俺みたいな変態のことを好きになってしまうなんて、ヒーローは本当に運がない。




でもまぁ、引っかかってしまったのはそちらなのだ。俺は十二分に、彼で己の欲求を満たすほかないだろう。


・・・そんな一般的に見れば非常なことを考えていると、漸くスプレンディドは口から「ぉえ゛ぇ・・・」と嘔吐する。





まだ口の中に俺の手が入っていたがために、俺の手はスプレンディドの吐瀉物で汚れる。

が、俺にとってはそれが不愉快なわけもない。






「あぁっ・・・綺麗だ、スプレンディド」

そう言いながらスプレンディドの額にキスを一つ落とす。


そうすれば、スプレンディドの顔にほんの少し嬉しそうな笑みが浮かんだ。



・・・が、嬉しそうに吐く姿よりも、苦しそうに吐く姿の方が好きな俺は「あぁ、そうそう」と言いながらニタニタした笑みを浮かべる。






ゆっくりと立ち上がり、机の引き出しに隠しておいたものを取りに行く。

戻ってきた俺の手元を見て、スプレンディドは口の端から流れた唾液もそのままに、小さく首をかしげた。




「・・・実はさ、あの双子君たちから良いモノを貰ったんだ」

「ふ、たご・・・?」


双子、と聞いて彼の顔が青ざめる。

唇は震え「まさか・・・」と小さく呟く。あぁ、そのまさかだ。





俺は双子から貰った・・・否、ぶんどったクリプトナッツの入った箱を見せる。


涙を流しながら「やだ、やめて」と譫言のように言い、俺の足へと縋りつくスプレンディド。




だが、止めろと言われて止めるわけもない。

俺は満面の笑みをスプレンディドへと向けた。




彼自身も俺が浮かべるこの笑み意味を知っているのか、絶望しきった顔で俺とクリプトナッツの入った箱を見る。






「ひ、ぎっ・・・!!」

何のためらいもなく開け放たれた箱から、クリプトナッツの怪しい光りが零れ――






「オ、ェッ、お゛えぇえ・・・ぅ、ぐっ、ゲホッ、おぇっ」

床に這いつくばった彼の口から吐瀉物が流れる。


手は俺のズボンの裾を掴んだまま、苦しそうに吐いている。

涙をボロボロ零しながら、それでも嘔吐を止めることが出来ない彼に俺は興奮を抑えることが出来なかった。






「あぁッ・・・ディドっ・・・!素敵だ、綺麗だ・・・」


床を汚す彼の吐瀉物。

胃液特有のつんとした臭いまでする部屋の中。



俺はその臭いに酔いながら、彼が吐く姿を恍惚とした顔で見つめた。

苦しそうにじたばたと暴れながら吐き続けるスプレンディド。彼ほど俺を幸せな気持ちにしてくれる相手はいないだろう。


スプレンディドが依存的に俺の傍に居たがるように、俺も彼の傍を離れられそうもない。










しばらく悦に浸り続けていた俺だったが、そろそろスプレンディドが自分と吐瀉物で窒息してしまいそうなのに気付いて「おっと」と言いながらクリプトナッツを箱に仕舞ってから、スプレンディドを抱き起こした。



ヒューヒューッと呼吸と言うには不十分な音を立てながら虚ろな目をしているスプレンディド。

口からこぼれる吐瀉物を指で拭ってやり、そっと彼を抱き締める。





「あぁっ・・・素敵だったよディド・・・とても、良い気分になれた」


流れる様に口づけて、まだ吐瀉物の残る口の中に舌を這わせた。



小さく息を漏らす彼をまるで逃がさないとでも言うように強く抱きしめ、口内に深く深く舌を這わせた。




「んっ、ふ・・・ぁ・・・」

まだ苦しさの残る中に発する気持ち良さにスプレンディドの手が俺の背中に回る。


しばらくキスを堪能したら、スプレンディドはすりっと俺の胸に顔を擦り付けながらぽろぽろと涙を流した。今日はとても苦しかったのだろう。

それもそうか。彼にとっては、クリプトナッツでの嘔吐は死因にもなりかねないのだから。


でも・・・







「好きだよ、スプレンディド」


「ぼ、くも・・・」




ほら。

この一言でスプレンディドはこの世の全ての幸せを手に入れたかのような、幸せそうな顔をするんだ。





だから可哀相なヒーローは俺から離れられない。

だから俺はこの可哀相なヒーローから離れられない。


嗚呼・・・









「明日はどんな風に吐いて貰おうか」


クリプトナッツは、当分俺のものだな。







エメトフィリアな恋人




あとがき

今回は『質問』の
【HTFでエメトフィリア主人公の英雄夢とか…!
無理矢理吐かせてるのとか見たいです!】
を実行しました。

・・・ま、まぁ嘔吐ぐらいなら表でも大丈夫、です、よね・・・?
吐いてる時の英雄は弱弱しくて可愛いと思います。←



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