高尾名前。
鷹の眼を持ち、黒子テツヤのミスディレクションを無効化することの出来る男。
そして・・・
「真ちゃぁーん、宿題見せてー」
「嫌なのだよ。高尾・・・お前は何故人事を尽くさない」
「これでも尽くしてるつもりだって」
緑間真太郎の相棒である。
まぁ相棒と言うのは名前の自称だが、それでも傍から見れば二人は本当に相棒同士に見える。
「今度しるこ買って上げる」
「物でつろうとするな」
「といいつつも宿題を取り出す真ちゃんのこと、俺大好きだよ」
目の前に出て来た宿題に「わーい」と声を上げた名前はそそくさと中身を写していく。
それを見ながら呆れたようにため息をついた緑間は「明日こそは見せないからな」と言い放つ。
「ん。昨日もそれ言ってたけど結局見せてくれたよな。有難う」
意気揚々と宿題を写している名前に緑間は軽くムッとする。
「高尾」
「んー?」
「こっちを向くのだよ」
「えー、今忙しい」
緑間が呼んでも名前の目は宿題に釘付けである。
いらっとした顔をした緑間はジッと名前の後頭部を見つめていた。
しばらくして緑間は何やら思いついた顔をし、
「・・・名前」
バッ!!!!
名前は勢いよく顔を上げた。
名前を呼ばれることなんてほとんど・・・というより全くないからだ。
緑間は自分の方を向いた名前に顔を寄せ、
チュッ
「〜〜〜っ!?!!?!??!??!」
「驚いたか」
「突然の2つのサプライズに心臓止まりそうだったよ、真ちゃん」
机に突っ伏した名前の耳はみるみる赤くなっていく。
「真ちゃんってさ、時々凄い行動するよね・・・」
「お前が俺の呼びかけにちゃんと答えないからなのだよ」
「ぁー、はいはい。ごめんね、真ちゃん」
名前はゆっくり顔を上げ、赤い顔のままニカッと笑った。
「けど、真ちゃんからキスしてくれるなんて、何だか役得かも」
そう言った瞬間、緑間の目が大きく見開かれた。
「なっ!?ば、馬鹿高尾め///!」
「あれー?もう名前って呼んでくれないの?」
名前がにやにやと意地の悪い笑みを浮かべる。
「・・・ぅるさい!・・・・・・名前」
「!・・・真ちゃん可愛い!」
「煩いと言っているのだよ!!!!!」
「それでも可愛いよ・・・真太郎」
特別良い声で囁く名前に緑間はビクッと震えた。
「〜〜〜っ!!!!」
「あははっ!真っ赤だよ真ちゃん!」
バシバシッと自分を叩いてくる緑間に名前は笑いながら声を上げた。
宿題見せて
(((((おい、お前ら此処が教室だって知ってるか)))))
クラス一同の声は彼らにはまったく届かなかった。