「桃ちゃん、結婚しよ?」
「へ?名前君?」
今日は黒子の弟、小学生の名前が練習を見学していた。
近くの小学校に通っている名前は、黒子に黙って練習を見に来たのだ。
黒子と違って影は薄くないし、周囲はちゃんと名前を認識している。
小学校のバスケットチームに入っていて、桃井の目から見ても今後良い選手になることが期待されている。
そんな名前の突然の言葉に桃井どころか練習をしていた生徒たちも硬直した。
「桃ちゃんはテツ兄が好きなんでしょ?」
「え!?そ、そうねぇ」
「じゃぁ僕と結婚すれば、黒子になれるよ?家族になれるよ?」
・・・この小学生、考え方が末恐ろしい。と他の生徒たちが震撼する。
「僕、桃ちゃんの家族になりたい」
「〜〜〜っ、名前君可愛いっ」
キラキラした目で見られた桃井はついつい名前を抱き締めた。もうデレデレである。
周囲はその様子に一旦練習を切り上げ近づいてきた。
「名前・・・突然、結婚は違うと思います」
「あ、テツ兄」
何時の間にやら近くにいた黒子に桃井は慌てて「て、テツ君!」と声を上げる。
名前は特に驚かずに「ねぇ、テツ兄」と満面の笑みを浮かべる。
「僕、桃ちゃんをお嫁さんにしたい」
「だからといって、僕をダシにするのは良くないですよ」
「んー・・・」
黒子の言葉に名前は小さく唸る。
周囲もその様子を固唾を飲んで見守っている。
「ん。桃ちゃん」
「なぁに?」
「結婚を前提に付き合ってください」
最近の小学生って怖い!!!!
周囲が顔を引き攣らせる中、桃井は「名前君・・・」と自分の頬に手を当てた。
小学生と言えども相手は黒子の弟。桃井の胸はきゅんっとしていた。
「だめ?」
駄目じゃないわ!と全力で叫びそうになるのを抑えつつ、桃井は優しい笑みを浮かべた。
「そうね。じゃぁ・・・名前君がおっきくなってからも、私と結婚したいって思っててくれたら、考えようかしら」
「ほんと?」
「えぇ」
周囲が桃井の大人な対応に拍手をする。
名前は「わかった」と頷くと・・・
「テツ兄みたいな男前になって桃ちゃんにプロポーズするね」
お前の最終目標は黒子なのかっ!
桃井は笑顔で「えぇ」と頷いていた。
余談だが・・・
その数年後名前は驚異的な成長を見せ、兄よりも高身長でバスケ雑誌の記事でもしょっちゅう取り上げられるようなバスケットプレーヤーになり・・・
学校でもモテるモテ男になったのだが、
「将来の夢は桃ちゃんのお婿さんです」
その心構えを崩すことなく、更にその数年後・・・見事桃井をGETしたという。
結婚を前提に