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ギューッ



「・・・んー、ヴィンセント。ごはん作れないんだけど?」




「・・・・・・」

先ほどまで地下室で作業をしていたはずのヴィンセントが抱きついてきていた。



別に抱きつくことが悪いわけじゃないが、料理してるときはやめて欲しい。


包丁とか火とかも使うし、ヴィンセントが怪我でもしちゃったら大変だ。





「離れて?」




「・・・・・・ゃだ」

やっと返ってきた返事に僕は肩を落とすしかなかった。



「折角オムライス作ろうとしてるのに・・・食べたくないの?」

そう尋ねるとふるふるっと首を振る。




「ボーだって、お腹すかせて帰ってくるだろうし、さっさと作っちゃわないと・・・」


そう言っても、ヴィンセントは首を縦には振らない。





僕にどうしろと言うのだろう。


すりっとヴィンセントが僕の背中に頭をこすり付けた。




まるでペットが主人に甘えるような・・・







「・・・あぁ、甘えたいんだ」


やっと気づいた僕は包丁から手を離してヴィンセントの頭を撫でた。




するとヴィンセントは嬉しそうにもっともっととすり寄ってくる。







「まったく・・・甘えたな弟を持つと大変だ」


そういいつつ、料理を放り出してヴィンセントをギューッと抱き締め返す僕も、相当だろうなと思って、苦笑を浮かべた。



甘えたな弟



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