森に変なヤツが入ってきたよ!
呪われてる人間!
それも、とっても若いの!
僕よりも、ずーっと若いんだよ!?
シシ神は僕が人間に興味を持っても、好きなようにさせてくれるからね!
僕も好きなよーに、行動しちゃうから!!!
『そこのお兄〜さぁん』
「!?誰だ・・・!」
ハッとして振り返るお兄さんに、僕はにこぉっと笑いかける。
今は人間の姿に擬態しているけど、本体はシシ神と同じ。
普段は、シシ神とずーっと一緒にいるけど、たまにこうして遊び歩くんだ!!!!
『僕は、この森の・・・そうだねぇ・・・第二の神様、かなぁ?』
僕の答えに、納得したわけではないみたいだけど、とりあえず「・・・そうか」と頷くお兄さん。
あ。お兄さんから、山犬のにおいがする。
きっと、山犬のところにいる女の子の知り合いなんだ。
知ってるよ?たまに、山犬のモロのところに遊びに行くからね!!!!
『お兄さん、呪われてるんだね!タタリガミ?』
「あぁ・・・」
東へ逃げたナゴとかいうヤツが、タタリガミになったって、シシ神が呟いてたような気がする。
ふーん・・・面白い運命だよね。
『呪いって痛いの?』
「まぁ・・・それなりに」
『そっかぁ!僕、呪いとか罹ったこと無いから、わかんないや!』
にこぉっと笑いながら言う。
痛いのは嫌いだから、呪われたくないけどね!
まぁ、呪われたらシシ神にどうにかしてもらうけどさ!!!!
『名前は何!?僕は森の童、人の名は名前だよ!』
笑顔でそういったら、お兄さんもちょっとだけ笑った。
「私はアシタカだ。森の童よ、何故そなたは私のような人間に話しかける?」
『アシタカが面白そうだったからだよ!僕、面白いの大好き!』
「人間は、嫌いではないと?」
『ぅーん?この間、お気に入りの森の遊び場燃やされちゃったから、好きじゃないよ。けど、面白いことしてくれるなら、人間大好き!』
こんなことをいうと、モロは怒るんだよね。
仕方ないか。森に住している者で、人間を憎む者は多いから。
「・・・変わっているな」
『そう?呪われているのに、真っ直ぐな目をしている君も、変わっているよ!普通の人間なら、絶望の淵に追い込まれるんじゃないの?』
ピョンッと飛んで、アシタカの背にくっ付いてみる。
あ。ヤバイ。・・・此処、ベストポジション!
『〜♪』
「・・・名前?」
『僕、アシタカ気に入った!ずーっとくっ付いとく!』
にこぉっと笑う。
アシタカの背中、気持ち良いなぁ。気に入ったなぁ。
『シシ神に、言わないと!アシタカとしばらく一緒にいるって!』
人の生きる時間は短いから、僕にとってはしばらく。アシタカにとっては一生。
アハハッ。面白い!
そうだ!!!!
『僕が、アシタカを看取ってあげよう!』
「ハハッ、有難う」
ポンポンッと頭をなでられた。
うん!悪くない!!!!
『それまでは、僕がずーっと傍にいるからね!!!!』
今は僕は笑っているけど、
アシタカが死んじゃう日がきたら・・・
きっと、泣いちゃうんだろうなぁって、
なんとなく思った。
童の森の戯言