はい。僕は、仕事をサボって昼寝をしてた悪い子です。
これじゃ、湯婆婆様に怒られる。
それも怖いけど、今一番僕が気になっているのは――
「・・・スゥッ」
木陰で昼寝をしていた僕にしっかりと抱きついて眠っている、ハク様だった。
ビビる。これは、本気でビビる!!!!!!
どどどどどどどどど、どうしよう!!!!!!!
そ、そうだ!此処は、そーっと抜け出すんだ!
「・・・・・・」
ゴクッと息を呑んで、ハク様の細い腕から逃れようとする。
・・・・・・。
僕は早々に諦めた。
ハク様は、僕が思っていた以上に、僕をガッシリッとホールドしている。
服もしっかりと握られていて、抜け出せる状況じゃない。
これで無理に抜け出そうとしたら、完璧にハク様が起きるッ!!!!!
そ、それにしても・・・
何故ハク様は、僕なんかと一緒に寝ているんだ?
昼寝をしている僕をたたき起こして、説教でもすれば良いのに・・・
ぁ。怒ったハク様は威圧的で怖いからなぁ、怒られるのも嫌だ。
・・・けど、この不可解な状況で混乱し続けるのも嫌だ!!!
「ンッ・・・」
わわわわわわわわッ!!!!!!!
ハク様が、僕に頬擦りしてきた。
寝顔可愛いなぁとか、肌すべすべだなぁとか・・・そ、そんな不謹慎なこと、考えてないからね!?
「・・・名前」
「は、はぃぃいいッ!!!!!」
び、吃驚したぁぁぁあああっ!!!!!!!!!!
突然名前を呼ばれて、ビクッと震える僕。
薄っすらと目を明けたハク様が、じっと僕を見ている。
「・・・もう少し小さな声で。耳が痛い」
「す、すみません」
慌てて謝ると、ハク様は目をこすりながら起き上がる。
けど、僕の服の裾は放してくれない。
意識が完全に覚醒したらしいハク様は、ハク様のせいで起き上がれずにいる僕に向かって、フッと笑った。
その顔は美しいのだけれども、今の僕にとっては、ビビりの対象でしかない。
ハク様はずいっと僕の顔にご自身の顔を近づけ「仕事をサボって、昼寝していたね?」と言う。
それをいうなら、ハク様もそうなのだけど・・・
仕方なく、僕は正直に「はい」と答えた。
「悪い子だね、名前は」
貴方もね!!!というツッコミは、なし!
ツッコミをした瞬間、僕の命が終わる気がする。
というか・・・ただ眠くて、心地よいこの場所で昼寝しただけなのに、何故目が覚めたらこんな不可解空間と化しているんだ!?
ハク様はズイッと僕を起き上がらせ、上半身だけ起き上がった僕の膝に座った。
・・・ぇ?は?・・・んんッ!?
「フフッ・・・名前はわかりやすい」
「は、ハク様!かかかかか、からかうのは止めてくださいッ!!!!!」
僕の言葉が、さも可笑しいように笑うハク様の考えが理解できない!
僕が止めてといっても、逆にハク様は僕の頬に触れてみたり、抱きついたりを繰り返しているし・・・
「とても気持ち良さそうに眠っていたね。私が何度頬を突いても、起きなかったんだから」
その時の僕!何故起きなかったんだ!!!!あぁ!!!僕の馬鹿!!!!!
「これじゃ、キスしても起きないんじゃないかって思ったぐらいだ」
「ぇえ!?き、キス!?」
グワァッと熱くある頬。
だ、だって!人にキスしてもらったこと、まったくないから!!!!!
ハク様は混乱している僕を見て、楽しそうに笑っている。
か、からかわれてる!!!!!!
「本当に、名前の反応は楽しい」
楽しまれてる!!!!!!
「今度昼寝をするときは・・・私を誘いなさい」
「ぇえ!?」
まさかの命令に、僕は叫ぶしかない。
「わかったね?」
「は、はぃぃいいっ!!!!」
元気良く返事をすれば、ハク様が小さく微笑む。
こういう、さり気ない笑みを見ると、仕事の時と違いがあるなぁってと思える。
「じゃぁ、約束だ」
そういって差し出された細い小指。
その手がそこらへんの女性よるも小さくて細き手綺麗で・・・
つい見惚れてしまった。
ハク様はそんな僕に気付いて、小さく笑っていた。
「そ、それにしても・・・な、何故僕と一緒に昼寝してたんですか?」
「起きて驚く名前の顔がみたかったから」
ちょっとだけ、居たずらっぽそうな笑みを浮かべたハク様に・・・
ほんの少しだけときめいたのは秘密だ!!!!!
お昼寝タイムは命がけ