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レイナ・フローラという少女の存在が消えて、コウは前と同じように目立たなくなった。


もちろん、隣にはセブルスがいる。


何時も一緒にいて、図書館で本を読む。

時折、一緒に昼食を食べているが、特に何か特別なことをしているわけでもない。







「デートとかしないのか?」






そんな平和そのもののほのぼのとした空気を凍らせたのが、この無有。



何気ない発言だったが、セブルスが硬直するには十分で、

コウが無有を殴る理由には十分すぎた。


ドギャンッ!!!!!という音と共に床に転げまわる無有を無視して、コウは本を読み始める。

そんなコウを、セブルスがじっと見ていた。



「・・・何」

「ぁ!い、いや・・・その」






――デート、しないか?






セブルスの発言に、流石のコウも、無言で本を落としていた。
















「今日は少し人が多いな、コウ」

「・・・・・・そうだね」


部屋が同室である二人は、特にデートの待ち合わせがあるわけでもなく、普段着ているローブから私服に着替え、街に出ていた。


別に、魔法界でもよかったのだが、今はマグルの街にいる。

セブルスにしてもコウにしても、知り合いに見られてはあまり気分は良くない。


自分もついていくと言い出しかけた無有は、寮の柱に括りつけてある。

無念である。




「やることない。・・・これで、良いの?」

「あぁ」


ちょっとだけセブルスが笑った。


デートといっても、やることなんてない。

だけど、それでもセブルスは良かった。


一緒にコウと二人で歩けるだけで、セブルスには良かったのだ。





しばらくただ歩くだけが続くが、突然コウの鼻は匂いを感じた。





「・・・ん」


甘ったるい匂い。

ふと見ると、ソコにはアイスを売る店が出ていた。


じっとセブルスがその出店を見ているのに気が付く。




「・・・食べるの?」

「ぁ、いや・・・」


否定しかけるセブルスを軽く無視して、コウはそれを買ってきた。

ついでにといわんばかりに、ジュースまで買ってくる。




「イチゴでよかった?」

「ぁあ」


まさか買ってくるなんて思わなかったセブルスはちょっとだけ驚きながらも頷いた。




甘いイチゴのアイスの味。


「コウのは?」

「バニラ」

それだけ答えたコウはジッとセブルスのアイスを見る。



「それ、美味しい?」

「あぁ」



「少し頂戴」


「ぇ・・・」

その言葉に、セブルスの顔がブワッと熱くなる。




「駄目なの?」

セブルスとは違い、冷静なコウに、セブルスは慌てて「いや、構わない」といってアイスを差し出した。


パクッと少し食べたコウは「まぁまぁ」と言う。




「食べる?」

「え!?」


「・・・いらないなら――」

「ぃ、いや。貰おう」


差し出されたバニラアイスをセブルスは緊張しながら食べた。

甘い味が、更に甘くなったような錯覚さえする。



「美味い、な」

「そっ」


素っ気無くそういったコウは残りのアイスをすぐに食べ終り、立ち上がる。





「デートって、そもそも何をするか、僕には理解出来ないよ」

「・・・楽しく、ないか?」


少しだけショックを受けたようなセブルス。






「・・・・・・・・・・・・・・・・・・別に。楽しくないわけじゃない」


「・・・///」

ぼそっとそういったコウに、セブルスが顔を赤くするには・・・十分だったらしい。




「アイス食べたら、本屋にでも行く?」

「あぁ」


「その後は、適当に歩けばいい・・・」


さり気なく、コウがセブルスの手を握ってくれて、セブルスは笑みを浮かべた。






初めてデート




パシャパシャッ!!!!

『うぅ、無有さん、人遣い荒いよぉ』

影で、こっそりシャメルが涙していたらしい。




あとがき

リクエスト有難う御座いました!!!!!
コウ君とセブルスの初デートということで・・・。

結局、最後は無有が得をするという、虚しい結果に・・・!!!!←


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