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僕には恋人?がいる。


・・・何故、『?』なのか?

それは――




「・・・コウ、ぇと・・・一緒に昼食を――」

「今は食べたくない。僕を置いていけば?」


「・・・・・・」





果てしなく、温度差がある気がする。




コウは何時もそうだ。

恋人らしいことなんて、していない気がする。


キスだって、コウから好きだといわれたときにされただけ。


手をつなぐとか、抱き合うとかはもってのほか。



コウは・・・

他人に触れることを極端に嫌っている。


せめてもの心の救いは、僕が隣を歩いていても何もいわないところ。

・・・それが、少し淋しいと思ってしまう。




独りで昼食を食べながら、僕は思う。


もしかしたら







――コウは僕のことがあまり好きじゃないのではないか?





「・・・っ」

目が熱くなる。


それを押さえて、僕はもう一度コウに会いに行こうとした。





ニャァッ

「・・・無有?」


足元にいる黒猫が、元ヴェスカ・ルライルであり、無有だということがわかった僕は「なんだ?」と言う。





「コウなら、セブルスの部屋にいるぞ」


「・・・ぇ?」

なんで?

そう思いながらも「わかった」と頷き、僕は部屋へ向かった。



部屋の扉の前で、深呼吸をしてから、そっと扉を少しだけ開けた。

覗き込むように見てみれば、コウが僕の部屋のベッドの上で本を読んでいた。


いつもどおりの無表情。




「コウ・・・?」

「・・・・・・」


部屋に入って声をかければ、コウは反応も見せず、本を読み続けている。




聞こえていないのだろうか?


そう思いながら、隣に移動して、座る。



しばらく、静かな時間が続いたが、突然コウが「ねぇ」と言った。

視線は本に向かったまま。




「な、なんだ」

ついビクビクッとしてしまう。


コウは黙ったまま、本を閉じて、僕の腕を掴んだ。


ぐいっと引かれて、それで――






「・・・ぇ」


唇に触れた小さな感触。

それがキスだと理解する前に、コウに抱きしめられた。



「ぇ、ぇっ?」

「ちょっと黙って。煩い」


煩いといわれて、僕は慌てて口を噤む。

コウは、僕を抱きしめたまま「僕はさ」と呟く。



「ベタベタするのが嫌いなんだよ。他人が自分の領域に入ることが、とてつもなく許せないんだ。吐き気がする」


その言葉が、僕の胸に突き刺さる。





「そんな僕が、自分の近くに人間を置いてるんだよ?」

「?」



「ベタベタするのが嫌いなのに、抱きしめてるんだよ?」

「・・・」


その言葉に、ちょっとだけ僕は期待する。




「吐き気だって、しないんだよ?」

「そ、れは・・・」


「別に、セブルスのことが好きじゃないわけじゃないから。いちいち勝手に不安にならないでよね。面倒臭いんだからさ。まったく・・・なんなの?シャメルには半泣きでセブルスに何か言ってやれって言われるし、無有にはウザイほどにセブルスの話を聞かされるし。いい加減にしてほしいよね。僕は、別に本当に昼食食べたくなかったからそう言っただけだし、手をつながないのはそっちが手をつなごうとか言わないからだし、キスとか抱擁だって、そうだし。僕がいけないって言ってるみたいで、イライラするんだけど?」

「・・・ぇ、ぇと・・・」


僕を抱きしめたままそういうコウに、僕はどうすればよいかわからなくなる。

けれど、わかったことは――






「ぼ、僕は・・・コウの恋人、なんだ・・・な?」



「・・・何?再確認しないといけないほど、頭悪くなったの?止めてよね」




「・・・・・・コウっ」

ギューッと抱きつけば、ため息が聞こえた。




「手・・・誰も居ないときならつないであげる」


それがコウの優しさだと、僕は思う。


「ぁあっ」

ついつい目から涙がこぼれたけど、コウが「泣かないでよ。面倒だから」と言いながら涙を拭ってくれた。

それがまた嬉しくて・・・








「コウっ、す、好きっ・・・」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・僕も、とか言って欲しいの?」

その言葉に、僕はこくっと頷いた。


コウは僕の耳元に口を近づけ







「愛してる」






囁いた。


僕が真っ赤になってしまっても、コウは気にしないで読書を再開した。





誤差と温度差



あとがき

この頃、コウ君とセブルスの番外編を!といってくれる心優しい人が多いので・・・
調子に乗って書いてしまいました。←

実はコウ君も、セブルスが悲しそうに独りで昼食に行ったことを、ちょっと気にしてたりしたら、良い・・・かも。とか思ってみちゃったり。
本編のコウ君がツンデレっぽくなってしまっているというサプライズ。←

※本編も、宜しくお願いします(汗)


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