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教室の窓際一番後ろ。


そこには、今日も詰まらなそうに頬杖を付いて窓の外を眺める彼がいた。





クラスの人間とはあまり関わらず、放課後はすぐに帰宅してしまう彼は、女子からはクールだとか、男子からはすかしたヤツとか・・・まぁ、いろいろと噂されていた。

僕から見て、彼は不思議な人で・・・少し気になると思ってしまうほど。






「スネイプ。この資料、資料室に運んでおいてくれ」



「・・・はい」


僕はと言えば教室にいるときは一人で本を読んだり・・・

クラスの奴らに押し付けられたこの“学級委員長”というのもは名ばかりで、結局は教師の雑用を押し付けられてしまう役割だ。


目の前には前の授業で教師が持ってきた教材と、たいして使用されなかった資料。今日提出された宿題だってある。


その量は、一目見ただけで軽く頭痛を覚えてしまう。



副委員長は自分には関係ないとでも言うように、友人と共に何処かへ行ってしまった。

一人で運ぶには、どうしても多すぎる。


しかし、次の授業もあるのだ。早く運ばなければならない。






「・・・ハァッ」

仕方なく、持てる分だけ持って、持ちきれなかった分はまた取りに戻ろう。


そう思いながら、両手に荷物を持つ。

ぁ、もう少し持てるかもしれない。


グッと身をかがめ、残りの資料を手にする。




なんと全部持てた。後は運ぶだけだ。


よたよたとしつつも、僕は資料室へと向かう。





資料室までは遙か遠くに感じてしまうのは、きっとこの荷物の重さのせいだ。






「ふぅっ」


自然と息を吐き出す。

正面から見知らぬ男子生徒が駆けてくる。


ドッと、傍を通った生徒の肩が僕の手にある資料の角に当たった。


今まで保ってきたバランスが崩れるのが、嫌でもわかる。




ぁっ、と口にした瞬間、資料は床に――










「・・・何してんの」







資料は床に落ちることなく、誰かの腕の中に納まった。


顔を上げてみれば、そこには長い前髪の彼。

呆れたような声の彼に僕は「ぁ、ぇと・・・」と言葉を探す。




「・・・はぁっ・・・貸して」

「ぁっ」


彼の手によって、僕の手にあった資料の大半が彼のもとに収まる。





「何処」

「ぇっ?」


「何処に運ぶの、コレ」




「し、資料室」

「ぁっそ」


すたすたと彼が歩き出す。

その背中を慌てて追いかけた。


一人で運んでいた時は、あんなに遠く感じた資料室も、荷物が軽くなればすぐにたどり着けた。



ドサッと荷物を資料室の床に置いた彼に、僕は慌てて「ぁ、有難う」と声をかける。


彼は「別に」とそっけなく返した。




「ぇとっ、ど、どうしてあそこにいたんだ?」

「いちゃ悪いわけ」


「そ、そういうわけじゃなくて・・・ただ、不思議で。あんなにタイミングが良かったから・・・」



もしかして、僕が教師に荷物を運ぶように頼まれているのを聞いていたのかもしれない。

自惚れかもしれないけど・・・彼は気を遣って最初から荷物を半分持ってくれる気で・・・




「そっちが勝手に推測するのは別に構わないけどね・・・さっさと教室に戻るよ」


「ぁ、あぁっ」




慌てて返事をして一歩を踏み出す。

ガッと足が床に置いてあった段ボールに当たる。


上に載っていた教材がぐらぐらと・・・



パシッと彼の手が教材を止める。





「君は相当怪我がしたいらしいね」

「す、すまない・・・」


「・・・ハァッ」




小さくため息をついた彼の動きに合わせ、髪が軽く揺れる。





「わっ・・・」


「・・・何」




「ぇ、ぇとっ」

ちらりと見えた顔は、吃驚するぐらい整っていた。


初めてみた。引き寄せられるような綺麗な顔。けど、吃驚したのは顔の美しさだけじゃなくて――






「・・・綺麗な目・・・」

「・・・・・・」


あまり日焼けしていない白い肌に、赤い瞳が映えていた。




「・・・君、変わってるよね。この眼を見たら普通そんなこと言わないよ」

「け、けど本当に綺麗で――」




「もういいよ。別に賛辞の言葉を聞きたいわけじゃないし」


「ぁ、ぇっ・・・」




コウはため息交じりにそう言うと資料室から出た。


彼の顔はもう見えなくなってて、何だかちょっと残念だった。

もう少し・・・見ていたかったな、なんて思ってしまう程。





「・・・さっさと教室に戻るよ」

「ぁ、あぁっ」


僕はこくこくっと頷き、彼の後に続いて教室へと戻った。




次の時間の授業が始まり、何時も通りのたいして楽しくもない教師の話を耳にする。

けれど僕の頭の中は資料室で見た彼の綺麗な瞳で一杯で・・・



チラッと彼のいる席を振り返った。




「ぁっ・・・」

偶然なのかもしれない。


まるで彼もこちらを見ていたかのように、僕と彼の視線が交じり合った。



胸がキュッとなる感覚。初めての感覚に戸惑い、熱くなる頬に戸惑い・・・






「〜〜〜っ///」


僕は働かない頭で、授業に専念することにした。

嗚呼だめだ・・・






もしかすると、これが俗に言う・・・“ ”?




初々しい恋心



あとがき

委員長セブとあえてボッチなコウ君でしたっ!

セブルスさん、それは『恋』ってヤツですよ。←
相変わらず無駄に男前なコウ君で頑張りました。←


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