夢の中で今宵も出会う。
「・・・アス」
夢の中の真っ黒な草原で腰掛けているアスに近づいた。
「・・・ヴォルか」
「隣、良い・・・か?」
ちょっと控えめに問い掛けた俺様に、アスは「あぁ」と頷く。
すぐに隣に座れば、アスは黙っているだけ。
「ヴォルは、マグルが嫌いか?」
突然の問いかけに驚きつつ「・・・嫌いだ」と応えた。
「俺は、きっとマグルだ」
「・・・・・・アスは違う」
コレほどまでに強力な力を持った男。
マグルなんてものでは治まるはずがないじゃないか。
「・・・そっ」
アスはそれだけ言って、ただ座っていた。
真っ黒な草原なんて、不気味以外の何者でもないのに、妙に安らぐ。
それがアスの力なのだと思う。
隣にいるだけで、俺様は此処まで心が落ち着く。
・・・あぁ、アス。
「・・・・・・ヴォル」
「なんだ?」
「・・・風が気持ち良い」
夢の中なのに。
風がちょっと吹いていた。
夢の中なのに、風を感じた。
俺様は、ちょっとだけ笑ってしまう。
「あぁ。そうだな・・・」
穏やかな気持ち。
穏やかな時間。
「・・・・・・もう少し」
いや、アスとなら、ずっとこうしていたい。
俺様は久しぶりに純粋に笑って、そう思った。
穏やかな空間
あとがき
一周年記念のリクエストでした。
たぶんアス君は内心だいぶ焦っている。←
まだ帝王様が本編で『ヴォル』と呼ぶようになるのは、もうちょっと後かもしれません。
そ、そう呼ばれるようになるまで、続きを頑張ります!(滝汗)