「七夕かぁ・・・」
校長先生が魔法で作り出した天井の星じゃなくて、本物の星を眺めていた俺は、ちょっとだけ呟いた。
今日は7月7日。
日本でいう、七夕だ。
もっとも、この地域から見える夜空は、日本で見えるものとは大分異なる。
短冊に願い事を書いて、笹の葉に吊るす。
もちろん、笹に飾りつけもする。
・・・あれ?クリスマスツリーっぽいぞ?この説明。
ま、まぁ・・・いいや。
「セブルス、七夕をやらないか(ぁ!?)」
「・・・ぇ?」
きょとんとしたセブルス。
そりゃそうだよ!!!!
セブルスが日本のお祭り知ってるわけないじゃん!!!!!!!
「七夕というのは――」
俺は、頑張って説明した!
説明力がない!文才がない!!!
俺、絶対先生とかにはなれないや(涙)
「――そして、織姫と彦星は天の川を隔てて離れ離れになった」
で、今日がその会える日なんだよ〜と俺はお気楽に話をまとめる。
「・・・そうか」
ちょっとだけ悲しそうな顔をするセブルスに俺はきょどる。
ん?何時もきょどってるじゃねぇかって?
・・・・・・気にしないで!!!!!!!!!!!!!
「一年に、一回だけ・・・か」
そう呟いたセブルスは、何故か俺の服をきゅっと握った。
・・・ちょっと可愛いとか思っちゃった俺!!!!ちょっ、馬鹿!それを口に出したら、万死に値すると思え!!!!!←
ぇ、ぇーっと、セブルス「大丈夫か」なぁ?
「・・・アス」
「(は、はぃぃいいい!!!!な、)何(ですか!?)」
俺はビクビクしながらセブルスを見る。
「・・・アスは、消えない・・・か?」
・・・ん?
え?俺☆消失疑惑!?!!!?!?!!!?!?!??!?
だ、「大丈夫」だと思いますよ!?
俺は人間だし!?彦星でも、ましてや織姫でもないし!?
ぃ、ぃや・・・
「セブルス、可愛い(こというね!)」
俺が笑いながら言ったら、セブルスが顔を真っ赤にして怒った。
・・・すみません。
調子乗りました(土下座)
《セブルスSIDE》
「七夕か・・・」
そう呟いたアスは、夜空に輝く星を見ていた。
まるで、過去を見詰めるような目。
その瞳に、アスが消えてしまいそうだという不安がよぎる。
「セブルス、七夕をやらないか」
「・・・ぇ?」
本当に唐突なその言葉。
ついつい素っ頓狂な声を上げてしまった。・・・恥ずかしい。
「七夕というのは――」
アスが見かねて説明を始める。
七夕というのは、アスの生まれ故郷に伝わってきた文化らしい。
織姫という女と彦星という男の話。
二人は仲が良く、何時も何時も遊んでいたらしい。
仕事もせずに二人が毎日暮らしていたがタメに、それに怒った天帝という人物が天の川を使って、二人を引き離した。
7月7日だけは会えるというが、その日に雨が降ってしまうと、天の川の水かさが増し、その日まで会えないというから、僕は驚いた。
折角一年待ったのに、だ。
「一年に、一回だけ・・・か」
ついつい呟く。
先ほどの不安が甦る。
アスの「大丈夫か」という言葉にも反応できない。
「・・・アス」
僕が声をかけると「何」と短い返事が帰ってくる。
「・・・アスは、消えない・・・か?」
ぎゅっとアスの服の裾を握り締める。
今にも消えてしまいそうなアスが、知らない間に消えてしまわないように。
アスはそんな僕をじっと見た。
「大丈夫」
・・・その言葉に、どれだけほっとさせられたことか。
明らかにほっとしてしまった僕。
そんな僕にアスが口を開いた。
「セブルス、可愛い」
その呟きと、口元に浮かべられた小さな綺麗な笑みに、僕は顔を真っ赤にして下を向いた。
七夕☆チキン
あとがき
まさかの七夕ネタ←
少し前に、織姫と彦星は恋人同士ではなくて、夫婦であるという話を知人に言われ、驚いたようなそうでもないような・・・
という体験をしました。
・・・ん?
『だからなんだよ』って?
・・・・・・えぇ。ただそれだけで、何の意味もありませんよ。←
ただ単に、アス君が消えてしまうんじゃないかと不安になるセブルスを書きたかっただけでs(ゲフンゲフンッ)