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《ドラコSIDE》



父上・・・

僕はとんでもない人に出会ってしまいました。




「・・・どうかしたか」

「ぇっ!?ぁ、ぇと・・・」


「・・・まだ、何処か痛むのか」


「〜〜〜っ///ぇ、ぇと・・・」





父上っ!!!!

僕の心臓は破裂寸前です!!!!!


僕に向けられている、何処か憂えるような視線。

今まで見た事もないぐらいの美貌に、ついつい眩暈を感じた。



凄い。こんな人がいるんだと思うと、何だか気恥ずかしさがこみあげてきて・・・


ずっと見つめられていたいけど、恥ずかしさのせいで今すぐ逃げ出したい。でも出来ない。

だって意地悪なことに、その人は今・・・――僕のことを抱き上げているから。




・・・あぁぁぁぁああああああッ!!!!!もう駄目です父上!!!!!冷静ぶってますけど、もう僕は今すぐ昇天しそうになってるんです!!!!!!




「アス、先生っ、ぇと・・・もう、平気です。だから、降ろしてください」

「足をくじいている・・・物凄い勢いで転倒したんだ。他にも痛い場所があるんじゃないか?」


あえていうなら今まさに心臓が痛いです。←






事の発端は僕の自業自得。


次の授業に遅れてしまうと階段を勢いよく段飛ばしで駆け下がっていたのが悪かった。

足を踏み外して宙へと投げ出されてしまった身体に、僕は血の気が引くのを感じた。


突然のことで杖を取り出す暇もなく、次は床とぶつかるのを待つのみかと思われた身体・・・






『ウィンガーディアム・レビオーサ』





耳に心地よい綺麗な発音と共に、僕の身体は宙に浮いたまま床にぶつかることはなかった。

カツン、カツンッと優雅な足取りでこちらに近づいてきたのは、ホグワーツで最も謎めいていて、ホグワーツで最も人気のアス先生だった。


アス先生は宙に浮きっぱなしだった僕の呪文を解いて、あろうことか僕を抱き留めた!!!!!

足を踏み外したときに軽く挫いてしまっていたらしく、それを気遣うような先生の優しさに泣き出しそうになった。



でもでもでも、恥ずかしいのには変わりない!!!!!





「先生、僕・・・ほ、本気で大丈夫ですから」

「・・・せめて医務室まで連れて行く」


「で、でも――」






「何をしている」


ビクッと肩が震えた。




まるで地を這うような声には聞き覚えがある。


当然だ。だって、その声の主は僕のいるスリザリンの寮官――スネイプ先生のものなのだから。




「・・・ドラコを、医務室に・・・」

「・・・そうか」


さり気なく自分の名前を呼んでもらえたことに歓喜しそうになるのを何とか抑える。

スネイプ先生は僕と先生に近づくと「なるほど・・・足を挫いたのか」とすぐに状況を理解してくれた。


よ、良かった。変な勘違いされなくて。



・・・ホグワーツ内では、アス先生とスネイプ先生が普通の関係じゃないのは、皆何となく察している。

だからこそ、スネイプ先生の前でアス先生に構って貰おうなどとはスリザリンの生徒はしない。・・・グリフィンドールの馬鹿共はするがな!



その度にスネイプ先生から発せられる禍々しい殺気には、毎度ビビってしまう。






「だが、抱き上げる必要があるのか?」

「歩かせるのも可哀相だ・・・それに、スリザリンの生徒はセブルスだって可愛いがっているだろう?」


「まぁ・・・そうだが、な」


腑に落ちない感じのスネイプ先生に「セブルスは、どうして此処に」と尋ねるアス先生。






「仕事がひと段落したから、アスをお茶にでも誘おうかとな・・・」

じっと僕を見るスネイプ先生に僕は冷や汗を流す。助けて父上!!!!!



「お茶・・・誘ってくれるのか?」

わっ!!!と声を上げそうになった。


アス先生が・・・笑った!!!!!!

僕がついつい真っ赤になってしまう。その尻目にスネイプ先生も真っ赤になっていた。





「も、もちろんだ」

「ドラコ・・・お前も、どうだ?」


「え!?」


「授業はもう遅刻だろうし・・・フリットウィック先生の授業だろう?俺が話を付けておこう」




その話はとても魅力的だと思う。

でも・・・





「・・・・・・」


スネイプ先生の目の前で「YES」なんて言えるわけもない!!!!!


あぁ!普段はスリザリンの生徒に向けないであろう殺気の籠った視線を僕に向けている!!!!

視線だけで人を殺せるなら、僕はもう何度死んでしまったことか!!!!!


もはや父上じゃなくても良い!誰か助けて!!!!!!






「ま、また今度、御一緒したいです」

「・・・そうか。じゃぁ、医務室でゆっくり休んでいなさい」


「は、はい。有難うございます」



じっとりと背中に汗が浮き出るのを感じながら、僕は医務室へと運ばれた。

あぁ・・・



本気でスネイプ先生に殺されるかと思った。






先生、その嫉妬はあんまりです。


(セブルス・・・俺、ドラコに嫌われてるかもしれない)
(?)
(だって・・・抱っこしたら何度も降ろしてほしいって言われたし、お茶も断られちゃったし・・・)
(気にすることはないさ。お茶菓子、何が良い?)
(セブルスが作ってくれたものなら何でも)
(・・・く、クッキーがあるぞ///)
(やった。有難う)
(〜〜〜っ///)



あとがき

四周年記念のリクエストでした。

【セブルス夢で重症チキン?!主人公のお話が読みたいです!もし、二人とも大人設定で、ドラコと絡んじゃったら…とても、とても、俺得です。】

ドラコのキャラがいろいろ可哀相なことになりました。←
き、きっとアス君のこととなれば贔屓しているスリザリン生に対しても殺気をむけちゃうと思います(笑)←


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