僕は変な本を見つけた。
よくわからないその本には【召喚】の文字があった。
よくわからないが、その説明を見てにやりと笑った。
その昔、世界を海に沈めた魔人が封印されているらしい。
それを召喚する方法が、その本には書いてあった。
魔人を信じていたわけじゃない。
けれど僕はそれを・・・
召喚した。
「・・・・・・で」
「ヒィッ!!!な、なんだね君は!!!!私になんのようだい!?わ、私は今忙しいのだよ!!!!!」
現れたのは、僕の前でものすごくビビッて居る優男。
何これ。
これが魔人?
冗談は顔だけにしてよ。
「質問するけど・・・アンタが、世界を海に沈めた魔人?」
「・・・え。それを怒ってるのかい!?あ、あれは確かに私がやったが、あれは神々との対戦のときの不可抗力だ!!!!」
必死に弁解する男。
・・・海に沈めたことは本当らしい。
「けど、その魔人がなんでそんなにビクビクしてるの」
「人間はおぞましいぞ!?この間なんて、私を召喚したと思ったら『魔人め!覚悟ぉぉぉおおおっ!!!!!』って殴りかかってきたんだぞ!?これを怖がらずにどうしろというんだね!?」
「・・・」
魔人が人間相手にビビッてどうする。
「ねぇ。魔人ってさ、人間の願い叶えられる?」
「む・・・ま、まぁ・・・少しは出来るだろうね」
「じゃぁ、僕に協力してよ」
この世界を闇に落とす協力を。
・・・。
こんなヘタレ魔人に頼るのもなんだけど、面白そうだ。
世界を海に沈めた魔人を使う。
こんなにすごいことはないと思う。
「ねぇ。協力してよ」
「・・・人間。わ、私は・・・そのっ・・・」
「リドルだよ。で、何?」
おどおどしている魔人はちょっとだけはにかんでいうんだ。
「リドル。ぁー・・・おなかがすいたのだが」
「・・・・・・」
だからなんだよ。
僕はそう思いつつ、顔をしかめた。
この魔人・・・
全然使えるようには見えなかった。
魔人召喚