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ベチャッ





“セブルス”の背中にぶつかるソレ。

“私”はため息をつく。




「やぁ、スニベルス!」

「貴様ッ・・・!!!!」


“セブルス”がギッとポッターを睨みつけ“私”は杖を構える。

杖を構えているのは“セブルス”で、ポッターを睨みつけているのは“私”で・・・




おや?意味がわからない?


そうでしょうとも。

だって・・・







――“私”は“セブルス”で“セブルス”は“私”なのですから。







私は所謂、セブルスの“副人格”と言って良いでしょう。


セブルスが“主人格”

同じセブルスなので、副人格の私はセブルスに“カイト”と呼ばれています。



一つの身体に二つの精神。

幼い頃からお互いを強く信じてきた私達。


“セブルス”が二つの人格を持っているのを知っているのは、今のところ幼馴染のリリーのみ。


目の前のこの男は、“セブルス”とリリーがお互いに秘密を共有していることを何となく察したんでしょうね。






恋敵に対する嫌がらせ。

いやはや、実に子供っぽい。これではあのリリーが振り向くわけもない。


だって彼女の理想は大人の男性だ。前に言っていた。








「今日もそのベタベタ髪で過ごしてるのかい?見てて実に不愉快だよ!笑えてくるぐらい!」


「ポッターッ!!!!!!!」

怒声を上げるセブルス。

あぁ、そんなに声を張り上げては、喉を痛めてしまう。




(セブルス。落ち着いてください)

(カイトッ!落ち着けるわけないだろう!こんな――)






(セブルス)






静かに名前を呼べば、セブルスは今までの勢いを抑えた。

私は周りの子供と比べて、大分落ち着いているようで、こうやってセブルスを止めることも多々あります。



(・・・わかった・・・落ち着く)

(そうです。良い子ですね)


身体があればセブルスを撫でてあげたいぐらい。



(セブルス、私と交代してくれますか?)

(・・・?どうしてだ?)


(可愛い可愛い私のセブルスが侮辱されて大人しくしていられるわけないでしょう?)



(〜〜〜っ、わ、わかった・・・///)

(ふふっ。素直ですね)


セブルスがゆっくりと目を閉じる。

これが・・・“交代”の合図。

















「・・・いい加減にしろ、ポッター」



「何だい?いきなり黙ったと思ったら」

不審そうな顔をしたポッター。


私はニッコリと笑うそうになるのを押さえる。

だってセブルスは人前ではあまり笑わないから。


セブルスに笑いかけてもらうには、相当仲良くならなくては。




「そんなことで自分の存在をリリーに知らしめて振り向いてもらおうと企んでいるのなら、それは無駄な話だ。実に非合理的で幼稚な悪戯だ。いや、悪戯にも満たないな・・・だって、僕に行っている貴様の行為は悪戯ともいえないお粗末な嫌がらせだ。そんなことではリリーの心は離れていくばかりだと何故気付かない?それは貴様の精神がまだまだ子供だという証拠であって、リリーとはまだまだ釣り合えないという証拠になる。そんなに僕が羨ましいか?リリーと何かの秘密を共有している僕が。羨ましいなら、自分が僕を越えれば良い。それが出来ないと心のどこかで思っているから僕にこんなことをするんだろう?残念なことに、君がどんなに僕に嫌がらせしようとも、リリーは貴様を見ないし、逆に僕を心配して僕に付きっ切りになる。無駄な努力、ご苦労だったな、ポッター」


呆然とするポッターに、セブルスがフッ・・・と鼻で笑った。





「ッ!!!!!ぃ、いきなりなんなんだい?そんな屁理屈ばっかり――」

「屁理屈を言っているのは貴様だ、ポッター。僕は貴様と違って忙しいんだ。そろそろ失礼する」




「ぁっ、ちょっ・・・!!!!」


くるっとポッターに背を向けて歩き出す。

もちろん、背中についたクソ爆弾を魔法で消すのも忘れずに。







・・・――







「ぁ!セブル――・・・カイト?」


ポッターから離れてしばらく。

リリーがこちらへ駆け寄ってきたかと思えば、すぐに“私”だと気付いた。




「ふふっ。流石はリリー。一瞬でわかりましたか?」


「当然よ!だって、雰囲気から違うもの!けど、珍しいわね?セブはどうしたの?」

「ポッターにまた嫌がらせを受けまして、私がセブルスの代わりに言葉を少々・・・」


「カイトが?良い気味ね、ポッター」


クスクスッと可愛らしく笑うリリーの頭を撫でながら「では、そろそろセブルスと代わります。セブルスに用事でしょう?」と問い掛けた。





「えぇ。セブに借りてた本を返そうと思って」

彼女は私とセブルスをちゃんと別々に扱ってくれるから、結構好きですね。


まぁ、一番はセブルスなんですけど。





(さぁ、セブルス。そろそろ代わりますよ?)

(わっ!?ま、待ってくれカイト!心の準備が――)






「ふぇっ!?」


「クスクスッ。セブったら、そんなに吃驚してどうしたの?」

セブルスも私もリリーのことを好いている。

それは家族愛のような、兄弟愛のような・・・


けして恋愛感情ではない。



だって・・・私とセブルスは心のソコから依存しあっているから。





「なっ、なんでもないっ・・・そ、その・・・本、だったな?」


それでもセブルスは女の子にあまりなれていなくて、今日みたいに言葉がつっかえてしまう。

リリーもそれを理解したうえで楽しそうに微笑んでいる。




「えぇ。本当に面白かったわ。有難う」

「ど、どういたしまして・・・」


緊張しているセブルスに私は軽く笑う。




(セブルス。もう少し落ち着いて、ゆっくり喋ってみてください)

(だ、だって緊張するんだっ・・・!)



(大丈夫ですよ。私がついてますから)

(・・・ぅん///)






ふふっ・・・

やはり、私の“片割れ”は可愛い。



君の副人格



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