ぇ?友達?
そんなもの居ないです。
ん?作らないのかって?
・・・・・・。
欲しくても作れないんだよぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおっ!!!!!!!!!!!!!!!!!
「ウグッ・・・エグッ・・・」
「泣かないで頂戴、カイト」
困ったように笑う母さん。
俺は母さんと同じ赤毛のストレートで、目は父さんと同じ。顔も若干母さんに似てる。
父さんも母さんも活発なのに、どうして俺はこんなに内気になったのだろう。
弟のハリーは友達沢山作ってるのに・・・
ん?俺は誰かって?
カイト・ポッター。ジェームズ父さんとリリー母さんの間に生まれた、ハリーのお兄ちゃんだ。
「今日も、セブが来てくれるから、遊んでもらいなさい」
にこっと笑った母さんに「ぅ、んっ!」と笑う。
セブルスさんは、母さんのお友達。
父さんとは仲がものすごく悪いけど、とっても良い人なんだ。
俺が友達いないの知ってるから、俺が遊んで欲しい時は遊んでくれるし・・・
「あら。来たみたいよ?」
「本当!?」
つい顔をほころばせて、玄関まで走る。
途中で「僕の可愛い息子がぁぁぁああっ!!!!!」と嘆く父さんを無視して、俺は「セブルスさん!」と玄関に立っていたその人に抱きついた。
「カイトか・・・久しぶりだな」
「セブルスさん!セブルスさん!」
「クスッ・・・なんだ、カイト」
俺をちょっとだけ笑って撫でてくれるセブルスさん。そんなセブルスさんが大好き!
「ん・・・?泣いていたのか?」
「ぁ・・・」
そういえば、俺はさっきまで泣いていたんだ。
俺を心配そうに見ているセブルスさんに「もう、平気!」と笑う。
「言ってみろ」
そっと俺の頭を撫でながら家の中に入るセブルスさん。
途中で「僕とリリーと可愛い息子達の愛の巣から出てけ!!!!」と叫ぶ父さんを無視して、俺とセブルスさんは俺の部屋に入った。
「・・・ぁのね、俺・・・友達がなかなか出来なくて」
遊んでくれるのは、まだ小さい弟のハリーだけ。
それが詰まらないわけじゃないけど、同年代の子とも遊びたい。
「来年からはホグワーツに入学だろう。そしたら、友達ぐらいできる」
「ほ、本当・・・?」
あぁ、不安になる。
「あぁ。もし、友人作りに行き詰ったら・・・我輩の部屋にくると良い」
「いいの!?セブルスさん、仕事で忙しくない!?」
「あぁ。大丈夫だ」
嬉しくて「セブルスさん、大好き!」と声を上げた。
バタンッ!!!!!
「うちの息子を汚すなぁぁぁぁああああッ!!!!!!!」
泣きながら部屋に飛び込んできた父さんを、母さんが笑顔で殴って退場させた。
・・・母さん。俺も、母さんみたいな豪快さが欲しいよ。ぁ、いや。父さんを殴りたいわけじゃないけど。
「・・・・・・とにかくだ」
父さんを見なかったことにしたセブルスさんは、俺を抱きしめながら、小さく笑ってくれる。
「我輩は・・・カイトの味方だ」
「本当?」
「あぁ。もちろんだ」
「セブルスさん・・・大好き」
セブルスさんの胸に顔を埋めてから、俺はハッ!!!とする。
「俺!大きくなったら、セブルスさんをお嫁さんにする!!!!!!!!」
バタァァァァアアアアンッ!!!!!!!!!!!!
「それだけは駄目ぇぇぇぇぇぇぇえええええええええええッ!!!!!!!!!!!!!!!!!」
もう、号泣しながら部屋に飛び込んできた父さんは、母さんによって気絶させられた。
・・・母さんッ・・・その内、父さんが死にそうで怖いよ!!!!!
「クスッ・・・あぁ。楽しみにしてる」
「むっ!!!!子供だからって、甘く見てるでしょ!!!!!」
絶対に、大きくなったらこの発言をすっかり忘れてると思ってる!!!!!!
「俺、絶対に母さんみたいに豪快で、父さんみたいに格好良い大人になるんだからね!!!!!」
「・・・父親のようにはなるんじゃない」
切実な声でそういったセブルスさん。
取り合えず「ぅ、うん」と返事をしておいた。
「けど・・・そうだな。楽しみにしてる」
フッと笑ったセブルスさんに、もう一回抱きついて「うん!」と返事をした。
好きで大好き
「ぅっ、うぅっ・・・」
「泣かないの。ジェームズ」
「カイトがッ!!!!!僕の可愛いカイトがッ!!!!!!スニベルスの毒牙に!!!!!!!!!」
「あら。カイトが上よ?良いじゃない」
「駄目ぇぇぇぇえええええっ!!!!!!!!!!リリーもカイトもハリーも、僕の愛する家族なのぉぉぉぉおおおおおっ!!!!!!!!スニベルスなんかには、やらないぃぃぃいいいいいっ!!!!!!!!!!!」
部屋の隅っこで泣き喚くジェームズと、それを眺めながら珈琲を飲んでいるリリーが、幼いハリーによって目撃されたという。