道路で倒れている人発見。
これが行き倒れか!!!!!
「あのー、大丈夫ですかぁー?」
その場にしゃがみ込んで、その人に問いかけた。
それにしても、凄いなぁ・・・青い髪の毛!!!!!
マフラーまで巻いてて、服装はそこまで悪くは無い。
というか、あれ?どっかで見たことあるぞ?
「ンッ・・・ま、すたー?」
「Notマスター。俺、マスターじゃないですよー?」
ゆっくりと顔を上げたその人物の顔を見て、俺は分かってしまった。
この人・・・
――KAITOだ。
たしか、旧型の歌うアンドロイド。
今、どんどん新しいバージョンが登場してて、人気が低迷していた気がする。
昔はとても人気だったらしいが・・・
ゴミ捨て場にデータを抜き取られたアンドロイドが捨てられることはしょっちゅうある。
近くにそのマスターとやらがいない辺り、このアンドロイドは捨てられたのかもしれない。
「マスターのデータあるの?」
「ぃ、え・・・データは、存在しません」
はい。捨てられたに一票。
「貴方は・・・僕のマスターじゃないんですか?」
「違う違う」
ふるふるっと首を振ると、哀しそうな顔をしてしまった。
ぅーん。どうするかなぁ・・・
「交番に届けても、たぶん誰も取りに来ないだろうしなぁ・・・」
俺、もしかして他人の傷抉ることを言ってる?
どんどんKAITOが落ち込んできている。
「データも無いんじゃなぁ」
なんとか起き上がったKAITOを見つつ、俺はため息をつく。
「んじゃ、俺の家に来るか」
なんとなく、軽くそういってみた。
「え!?」
驚いた声を上げるKAITOに「俺、丁度アンドロイド一体も買ってないし」と笑う。
「け、けど・・・迷惑になるんじゃっ」
「大丈夫大丈夫。経済的だし」
この理由はどうかと思うが、KAITOは俺が迷惑じゃないっていうと、ほっとした顔をして・・・
「よ、よろしくお願いします」
緊張したように頭を下げた。
よし。
とりあえず、歌わせたい歌とか考えてみよう。
行き倒れロボット