「マスタぁ〜!御酒なくなったぁ〜」
あまり呂律が回らないのか、千晶はその言葉を聞き取るのが少し難しかった。
酒瓶を軽く振りながら、ふにゃふにゃした笑みを浮かべているメイト。
「・・・飲みすぎだ。メイト」
「えぇ〜?」
千晶はべろんべろんに酔っ払っているメイトに軽くデコピンした。
「いたいぃ〜」
「煩い。明日、絶対二日酔いだぞ?」
「マスタぁ、ノリわりゅーい!」
ギューッと千晶に抱きついたメイトに「はいはい・・・」と返事をする千晶は、大分手馴れているのだろう。
自分と同じぐらいの背丈のメイトを、なんとか抱き上げる。
「ノリが悪くても結構。さっさと寝ろ。今何時だと思ってるんだ」
「えぇ〜?7じぃ〜?」
「残念だったな。夜中の2時だ」
「じゃんねぇーん」
へらへらっと笑ったメイトに、千晶はにっこりと「残念賞は、ベッドへ直行命令だ。とっとと寝やがれ」とドスの効いた声で言った。
「やだやだぁ〜」
「・・・ヤダっていうな」
「マスタぁが、キスしてくれたら、考えましゅよぉ〜?」
「・・・はいはい」
千晶はメイトに唇をくっ付ける。
「んー・・・」
酒の味を感じるそのキス。
千晶はメイトの頭を抑え、何度もキスをした。
「ほら。さっさと寝ろ」
ゆっくりと口を離した千晶は、素っ気無くそういった。
「はぁーい」
ふにゃっと笑ったメイトは、まるで電池が切れた玩具のように、ベッドに転がって動かなくなった。
「・・・まったく」
ため息をついた千晶は、次の日二日酔いで声無き悲鳴を上げるであろうメイトのために、薬やら温かい飲み物を準備しようと計画を立てていた。
二日酔い計画