憧れの先輩警察官とある日の夕方。
学校指定の制服を正しく身に着け、起き勉などせずに毎日きちんと持ち帰っている教科書が詰まった鞄を持つ、大人が思う『模範生』といった風な高校生。
「名前!今帰り?」
「んー。じゃぁなぁ」
サッカー部の友人とすれ違った後一人ゆったりと帰路につく彼は、ふと鞄の奥底からガラパゴス携帯を取り出しアドレス帳から探し当てた番号へ慣れたように電話をかける。
「柴くん、苗字だけど。先生からプリントを預かっているんだけれど、家に届けた方がいいかな?それとも、前みたいに君の知り合いに預けた方がいい?」
電話の向こう側に問いかけると、相手は短く「届けろ」と返事をした。届けてもらう立場なのに毎回態度がデカいな、と名前はため息を吐いた。
一方的に切れた電話にもう一度ため息を零し、教師から預かったプリント達が詰まった封筒を手に、普段殆ど学校に顔を見せないクラスメイトの柴大寿の家がある方角へと歩き出した。
あとがき
未開放情報『柴大寿の同級生』
別に隠していたわけではなく、本人的にはただのクラスメイトであって友人って程でもないし、プリントを届ける以外で関わりもなかったから『知人かどうかの脳内確認の結果、ギリギリ知人未満』になった。
多分柴大寿的には知人、もしかすると友人かもしれない。大寿くんが可哀想。
タイムリープとかの影響で大寿くんとの関係が『知人未満』→『知人』→『知人以上友人未満』→『友人』に進化していくかもしれない。
友人な時は大寿くんもギリギリ堅気な生活をしてる。
大好きな先輩の交友関係がちょっとずつヤバイ方向にいっちゃってることに直人は焦るし、焦ってる様子を大好きな先輩に心配させてご飯とかに連れてってもらえる。複雑な心境だけど嬉しい展開にはなってくれる。