妖精さんと友達になった「いやぁ、まさか呪物を生徒にする日が来るなんてなぁ」
あの日悠仁からの連絡で駆けつけた五条は、先日の襲撃事件で盗まれた呪胎九相図の受肉体を二体発見。そのうちの一体がどういうわけか人間の子供と親しくしており、それを目の当たりにしたもう一体が激しい動揺からか動けずにいたのも確認した。
五条は早々に子供を眠らせ、まるで人質にとるような形で「ちょっと話でもしない?」と笑った。完全に悪役だったと後の野薔薇は語る。
受肉体二体を拘束し高専へ連れ帰った五条は「質問に正直に答える」ことで血塗に名前の安否を約束し、同じく「質問に正直に答える」ことに加えて「高専内で大人しくする」ことで壊相に血塗と血塗が大事にしている様子のある名前の安否を約束した。
約束をした二人から出てくる情報はどれも新しく、五条は大変満足した。
「生徒になった覚えはありません。私たちはあくまで『保護』もしくは『監視対象』でしょう」
「きちんと理解してくれてて嬉しいよ。けどまさか、呪物がこれほどしっかり自我を持ってるとはねぇ・・・」
「・・・血塗の友人とやらは本当に無事ですか?友人のことを気にして血塗はすっかりふさぎ込んでしまった」
「うんうん、あの子は非術師だからねぇ。本当ならこっちに関わらないのが一番なんだけど、それで君の弟は協力的になってくれるし、便利だよね!」
「・・・おそらく貴方は人類で一二を争うクズでしょうね」
吐き捨てるように言った壊相に五条が声を上げて笑っていると、携帯の着信音が鳴った。
「おっと、噂をすれば。ちょっと血塗を呼んできてくれない?君のお友達からお電話だよ、って・・・」
「名前から電話!?」
「わっ、何処から聞いてたの?地獄耳?ヤバイね」
物凄い勢いで走ってきた血塗は五条から携帯電話を渡され、それをそわそわと耳に宛てた。
『こんにちは!血塗のお電話ですか!』
「け、血塗のお電話じゃねぇけど、血塗です!」
嬉しそうに返事をした弟の姿に、あまりよろしくない状況のはずなのに壊相は思わずほっこりした。