見えないナニカとの生活「うっ・・・金縛り?」
目が覚めると身体がちっとも動かなかった。金縛りというか、全身をぐるぐる巻きに拘束されている気分。
「・・・わぷっ、何だ、お前か」
突然キスをされた感覚に、俺の身体を覆っているのが昨晩のナニカだとわかる。昨晩は人の形をしていたのに、今はすっぽりと俺の身体を包み込んでいるらしい。・・・このまま捕食されても可笑しくなさそうだ。
起きたいという意思表示をするために身じろぎすれば、案外あっさりと解放された。
「・・・あー、今日は缶ビンを捨てる日か」
昨日は近所のおばさんに会ってしまい嫌な気持ちになったから、ゴミ捨て場に行くのが億劫だ。
「ん?なんだなんだ」
げんなりしていた俺の頭をよしよしと撫でたナニカがぎゅっぎゅっとハグをして、やがて俺の腕を引いた。
「げんなりする暇があったらとっととゴミ捨てろってことか?わかったわかった、ちゃんと行くよ」
台所のゴミ袋を掴んでゴミ捨て場に行けば、ラッキーなことにおばさんに遭遇することはなかった。あぁ良かった良かった。
あとがき
警戒心とか危機管理能力とかが少し足りない非術師な男主と真人の話。
真人は男主に付きまとうようになってから男主の面白さに気付いたが、そもそも男主に近づいたのは真人が男主に一目惚れしたから。一目惚れしたし面白さに気付いたしでもっと好きになった。だから宝物。
いつか筆談とかするようになるし、スキンシップはどんどんエスカレートする。