幼子はいあいあと唱える「潔高おじさんは何で止めたんだろう」
誰かからの電話で慌てた様子で伊地知が去って行き、残された名前は不思議そうに首をひねる。そして思い出したように、ポケットに入っていた飴玉を口に入れる。甘い甘い、蜂蜜味の飴玉。
「おじいちゃんが好きだったタコさん、凄い神様なのに。いあいあ・・・」
ころりと飴玉を口の中で転がした幼子が歌うようにその言葉を口にするたび、とぷりとぷりと影が揺れる。
「いあいあ、はすたあ」
ブブブッと幼子の傍で羽音が聞こえた。
(神は敬虔なる信者の孫を愛でている)