先見の一族の奔走記夏油くんが我が家を去ってから、当然のように家族会議・・・それどころか、既に先見の明によって一族の危機を悟っていたらしい親戚一同から鬼電が掛かってきて親族会議をすることになった。
僕のせいではないにしろ、一族の危機の発端は僕と夏油くんが出会ったことにある。
一族の中には御三家に無理くり許嫁にされそうになってる子たちもいるし、これ以上問題を増やすわけにはいかない。
「兎に角、未来で呪詛師になった夏油傑による一族抹殺は何としてでも避けましょう。特に名前、貴方の行動一つ一つが分岐に繋がるようですから、何かあればすぐに連絡を。未来を変えるためなら、我々も協力を惜しみません」
一族の老人会。普段は優しいおじいちゃんおばあちゃんたちだが、一族の危機ともなれば真面目で厳しい表情をしている。
僕は強く強く頷き「せめて、一族抹殺だけは避けられるように頑張ります」と宣言した。するとおじいちゃんおばあちゃんたちは、その顔を悲しそうにして首を振る。
「違うのです。どうか、一族を守るためといって貴方が犠牲になろうとはしないで。貴方も幸せになれる未来を見付けなさい。先見の明を持つ我々なら、きっとそれも叶うでしょう」
「・・・はいっ」
先見の明の一族。呪術界においては異質な、身内にとことん甘く優しい苗字家に生まれることが出来て良かった。
僕は「これからよろしくね」と嬉しそうに微笑んでいた夏油くんを思い出しつつ、一族だけでなく自分のためにも頑張ろうと心に決めた。
・先見の明を持つ男主くん
一族揃って先見の明を持ってるけど、常に先が見えてるわけじゃない。集中すれば見える。
未来は常に分岐しているため、一族間の報連相は欠かさない。
今回、甘酸っぱい青春で自身の生死が不安定な存在となった。
夏油くんのことは苦手ではないが、一族の命が関わっているために慎重になる。
・艶やか美人な夏油くん
押せ押せドンドンでアタックしてくる美人さん。
まさか自分の恋心が一族に激震を走らせたとは知らない。
しおらしい態度を見せつつ、その気になれば既成事実を作ることも吝かではない。
実はいつの時点で『一目惚れ』したのかは明言していないため、昔何処かで名前の姿を見たことがあったのかもしれない。