「太子。お仕事の時間です」
「えぇ〜?仕事したくないぃー」
「駄目です。さっさと仕事をしていただかないと、情勢がめちゃくちゃになってしまいます」
ズバッと言った始に、太子は頬を膨らませる。
「そんな顔しても仕事は待ってくれませんよ」
あまりに冷ややかな視線と言葉。
うぅッ、と唸る太子は、仕方なく机に向かう。
「クゥゥウウッ・・・私は摂政だぞ!偉いんだぞ!」
「なら、真面目に仕事をしてください。カレーを貴方の目の前でグチャグチャに踏み潰しますよ」
「ちょっ、おま!なんてこと言うんでおま!!!!!」
ビクゥッと震えた太子は、泣く泣く仕事を始める。
背後には冷ややかな視線の始。
ものすごく威圧感があって、太子は迂闊に身動きが出来ない。
「・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
長い沈黙。
太子は・・・
「ぬあぁぁぁぁぁぁあああああああッ!!!!!!!!!!私を殺す気かぁ!!!!!!」
黙っていることが苦痛で叫んだ。
ちなみに、仕事は全然進んでいない。
「何ですか。黙って仕事も出来ないんですか?この屑が」
再び冷ややかな視線と言葉を太子に向ける始。
「屑!?一応、私はお前の上司なのに!?酷いでおま!!!!!!」
「・・・まともに仕事してからそういうことは言って下さいよ。ウザイし」
「辛辣ッ!!!!!!!」
その場に崩れる太子に「ハァッ・・・」と始はため息をつく。
「仕事をしてください」
「ぅう・・・始はそればっかりだ」
「貴方が仕事をしないからです」
ズバッズバッと始が返事をしているため、太子のHPはどんどん磨り減っていく。
「まったく・・・貴方は、どうすれば仕事をちゃんとするんですか?」
どんどん元気が無くなっていく太子に痺れを切らした始が、呆れ顔で尋ねた。
パァッと目を輝かせた太子は、
「始に笑って欲しい!」
「・・・は?」
「何時も冷たい視線ばっかり向けられるから、笑って欲しいんでおま!!!!!」
「・・・・・・」
押し黙った始に、太子が期待した目を向ける。
「・・・ハァッ」
ため息をついた始は太子を見詰め、そっと太子の傍に近寄る。
「・・・仕事、ちゃんとしてくださいね?」
「・・・ぁ」
そっと太子の頬に手を置き、始はふわりと微笑んだ。
硬直する太子からゆっくりと離れ・・・
「しばらく別の仕事で出て行きますが、俺が帰ってくるまでには仕事、終わらせてくださいよ?」
そういって部屋から出て行った。
取り残された太子は・・・
「か、格好良すぎる・・・///」
そういって頭を押さえて蹲っていた。
ふわりと微笑み