死んだ。
階段駆け上がってたら足ひっかけて、こけたせいで頭打って死んだ!
何ソレしょぼい!
俺の人生ソコで終了!?って気分。
「はーい、列からはみ出ないようにしてくださぁーい」
・・・何此処。
もしかして、此処は死後の世界?
というか、鬼っぽい方々が列を整備してるんですけど。何ソレ凄い。
皆、俺と同じように死んだ人たちなのかな・・・
「そこのアンタ!列からはみ出ないでってば」
「わっ!?ぉ、俺!?」
ガシッと肩を掴まれ、恐る恐る顔を向ける。
「そうだよ、アンタだよ。ほら、アンタはこっち」
「は、はぃ・・・」
ぉ、鬼?
何だか、角がなければ普通の男の子っぽいんだけど・・・
「ぁの・・・貴方は、鬼・・・なんですか?」
列に戻されながら尋ねると、彼はこくっと頷く。
ぁ。仕事中に邪魔だったかな?
「俺、始って言うんですけど、貴方は?」
「ぁー・・・鬼男、です?」
「ははっ・・・何で疑問形なんですか」
「なんかアンタが敬語だったから、ついこっちもさ」
はにかむように笑った目の前の鬼男という人に、俺は少しだけ驚く。
何だろう。喋ることまで、普通の男の子っぽいぞ。
「じゃぁ、ため口でも・・・?」
「大丈夫大丈夫。問題ない」
「じゃ、お言葉に甘えさせてもらうな」
その言葉にほっとして、俺は笑う。
俺の笑顔を見た鬼男が「何だか調子狂うな・・・」と照れたように笑った。
何だろう、可愛い。
「この列の先に、閻魔大王っているのか?」
「ぁ、あぁ」
「やっぱり、厳つくって怖い人なんだろうなぁー・・・」
「・・・・・・」
「鬼男?」
「ぁ、あまり期待しないほうが良い。大王は、なんというか・・・セーラー?」
「セーラー!?何ソレ」
大王がセーラーって何!?と声を上げる俺に、鬼男は「・・・まぁ、いろいろあるんだよ」と遠い目をした。
「ぁー・・・何か、苦労してるんだな」
「わかってくれるか」
「おぅ。なんか悲壮感漂ってるな」
ぽんぽんっと背中を叩いてやれば、鬼男は「ありがと」と項垂れた。
何か、すっげぇ親しみ持てるなぁ。
「列はまだまだ先だけど、鬼男的にはどう思う?」
「何がだ?」
「俺、天国かな?それとも地獄かな?」
出来れば地獄は御免だ。なんか怖いし。
「さぁ。大王が決めることだし。けど・・・」
「ん?」
「俺は天国だと思う。お前、とっても良いヤツだから」
はにかむように笑った鬼男に、俺は一瞬顔が熱くなる。
「な、なんだよっ・・・て、照れるなぁ、おい」
鬼男を直視できなくて、つい視線を漂わせる。
鬼男は「何照れてるんだよ」と笑った。バレたか。
「じゃぁ、俺が天国行きって言われたら、たまに会いに来てくれよ」
「地獄だったら?」
「何か気まずいから来なくて良い。・・・ぁ、いや、やっぱ駄目。たまに来て。寂しくて精神的に死にそう」
「ははっ、変な奴。・・・まぁ、考えとく」
その返事に俺はほっとして笑う。
話している間に、列は結構進んだらしい。
「そろそろ俺の番か」
「あぁ。まぁ、気楽で大丈夫だと思う」
「ありがと、鬼男」
小さく笑いかければ、鬼男はさっきの俺みたいに顔をそらした。
「照れただろ?」
「うるさい」
鬼男に軽く頭を叩かれながら、俺はまた笑った。
天国地獄さぁどっち
(初めてみた閻魔大王様は・・・何か、ヘタレ風な変態セーラーでした。)←