ワイルドな煮物あの青年がいた牢獄に人一人が通れる大穴が空いていた。普段は茣蓙で隠していたようだが、あの日までよく隠し通せたものだと思う。
・・・おそらく、先輩たちの監視が手抜き気味だったことが大いに影響しているのだろう。まぁ告げ口のようなことをするつもりはないが。
でもそうか、穴を掘っていたということは、最初から逃げるつもりだったのか。二度と地上に出られないだろうと言うから自分の過去について話したが、あれは失敗だったろうか。・・・まぁ、大きな秘密という程でもないから、気にはしないが。
「名前、お前も悪魔の子と脱獄犯を追う任に付け」
「はっ!」
上官の言葉に敬礼と共に返事をする。いずれ再びあの青年と会うことがあるかもしれない。捕まえられるかどうかはわからないが、もし再び出会えたらあの大穴を良く掘れたなと褒めるぐらいはしてもバチは当たらないだろう。
あとがき
デルカダールとサマディーのハーフな兵士主。グレイグ班として悪魔の子一行を追う。
レッドオーブは無事(その後脱獄したカミュに再び盗まれてるとは知らない)だし、正直カミュは捕まえなくていいのではと思ってる。でも仕事だから捕まえられそうなら捕まえる。
悪魔の子を追う途中で叔父が正式に家督を継ぎ、当主特権で家の敷居を跨げなくなったことを手紙で知る。何らかの事故で大怪我した男主をカミュが発見→勇者やセーニャあたりが治療→恩は返すと言って一度逃亡の手助けをする→デルカダール兵を除名処分→働き口を失ったけどどうせだから一人旅でも楽しむか→勇者一行と再会しそのまま一緒に行こうと誘われ了承、の流れ。
カミュの好物はワイルドな煮込み料理。