王子様の野望「デルカダール王国元軍師ホメロスの身柄、我が国に預からせていただきたい」
デルカダール王に憑依したウルノーガの手下として暗躍していたホメロスは、大樹で勇者一行に敗北。忠義を誓っていたウルノーガにも裏切られ、勇者一行に捕らえられた。
全てが終わった後、ホメロスの処遇について話し合いがなされる中、その王子は現れた。
グレイグやホメロスの記憶に残っている姿よりも幾分か成長した、それでもまだ幼い王子名前は、その顔に穏やかな微笑みを浮かべたまま「長きにわたり魔の者と関わっていたホメロス様は、その身体を闇に蝕まれていることでしょう。我が国は呪いの治療においては他の国より勝っていると自負しております。起こしてしまった罪への償いは、その身がきちんと治ってからでもよろしいのではないでしょうか」と話し合いに参加する人々の前にホメロスの身体に起こっているかもしれない後遺症についてまとめられた書類を見せた。
「我が国に預けてくださいますね?」
人々が納得し頷く中、グレイグだけは困り果てた表情で名前王子を見つめていた。それに気付いた王子は、にっこりと微笑んでいた。その目はとろりと甘く蕩けているようにも見えた。
(やっと手に入った)